演題抄録

一般演題(口演)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

膀胱に浸潤した大腸癌切除例の臨床的検討

演題番号 : O62-4

[筆頭演者]
橋爪 正:1 
[共同演者]
小田切 理:1、小笠原 紘志:1、山田 恭吾:1、松浦 修:1、池永 照史郎一期:2、川嶋 啓明:2

1:むつ総合病院 外科、2:青森市民病 外科

 

【目的】膀胱浸潤した大腸癌切除例について治療上の問題点を検討する.【方法】1990-2009年のm癌を除く初回腸切除1965例のうち膀胱浸潤として治療された26例(1.3%)を対象に後向き検討を行った.今回の検討には大腸癌取扱い規約の第7版を用いた.【結果】術中SI(膀胱)の治癒切除率は69%(18例)と低い.また術中SIとされても,腫瘍周囲の炎症性変化や合併する膿瘍が診断を難しくしており,組織学的な膀胱浸潤の正診率は46%(12例)であった.26例の癌占拠部位別頻度はS3.3%(17/515),Rs2.1%(5/237),Ra1.4%(3/208),Rb0.4%(1/231),男女比は3.3:1(膀胱浸潤のない対照群1939例は1.3:1)と男性に多く,平均年齢は64.5歳(対照群66.6歳)であった.膀胱浸潤群の臨床病理学的特徴として最大径7.8cm,環周率91%と大型の腫瘍であるが,リンパ節転移率は31%(8/26)で,内訳はN1が22例と多数を占めており,N2,N3-4が各々1例,3例認められた.われわれは可及的膀胱の温存を心がける術式選択を行ってきたが,実施された術式は大腸切除17例,ハルトマン手術5例,骨盤内臓全摘4例であり,膀胱に加えられた処置別には膀胱全摘+尿管皮膚瘻1例,膀胱全摘+回腸導管5例,膀胱部分切除17例である.手術死亡はないが,術後合併症の発生率は69%(18/26)と高く,主な内訳はSSI23%(6例),RI(全例尿路感染,1例は敗血症を合併)23%(6例),ストーマ周囲皮膚炎など11%(3例),縫合不全7%(2例)などであった.術後合併症の有無別の在院日数は42.8日, 16.8日と著しい差を認めた.退院後の術後化学療法実施率は62%である.R0手術と判断した23例の長期成績を術式別にみると,膀胱全摘6例は癌死2例,他病死2例(くも膜下出血,胃潰瘍穿孔),無再発生存2例である.一方,膀胱部分切除17例は癌死6例,無再発生存10例,担癌生存中1例(多発肺転移)であった.【結論】膀胱浸潤大腸癌の特徴はS状結腸からRs領域の局所浸潤性の強い腫瘍であり大型の割に遠隔転移率は高くない可能性があるので,確実な局所制御により予後は期待できる.膀胱浸潤の術前診断率は高くないが,実際の浸潤範囲は肉眼的に判断可能なので,十分な(通常1cm程度)断端距離が確保出来れば膀胱温存術式が妥当である.

キーワード

臓器別:大腸・小腸

手法別:手術療法

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