一般演題(口演)
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StageIII大腸癌におけるリンパ節転移率と再発、予後との関連についての検討 演題番号 : O61-4
1:京都府立医科大学 消化器外科
【はじめに】本邦の大腸癌取扱い規約第7版ではstageIII症例の細分類は深達度を問わずにリンパ節転移個数により分類しており、リンパ節転移率(lymph node ratio: LNR)については検討されていない。しかし、近年、大腸癌のLNRと予後に関する報告が散見される。そこで、当院におけるstageIII大腸癌症例に対してLNRと無再発生存率ならびに生存率との関連を明らかにすることを目的にretrospectiveに検討した。さらには、他の臨床病理学的因子に対しても同様に比較検討した。【対象と方法】2000年から2012年まで当院で根治切除術を施行した大腸癌stageIII症例351例を対象とした。大腸癌取扱い規約ならびにTNM分類7版を用いて生存曲線を比較した。また、LNR<0.3群と≧0.3群との生存曲線も比較した。さらに、LNRを含めた臨床病理学的因子について多変量解析を用いて予後規定因子ならびに再発危険因子について検討した。【結果】平均年齢は65.6歳、男性193例、女性158例、結腸癌213例、直腸癌138例であった。大腸癌取扱い規約ではstageIIIaは予後が良い傾向にあったが、有意差は認めなかった。TNM分類7版ではIIIA、IIIB、IIICの順に予後不良となり、IIIAとIIIC間にのみ有意差を認めた。LNR分類では<0.3群は有意に≧0.3群と比較し予後が良好であった。臨床病理学的因子について単変量解析を用いて検討すると、年齢、術前CEA上昇、CA19-9上昇、組織型、リンパ管侵襲、静脈侵襲、リンパ節転移率で有意差を認めた。多変量解析では、LNRのみが予後規定因子として選択された。再発に関しては単変量解析で術前CEA上昇、CA19-9上昇、腫瘍径、静脈侵襲、リンパ節転移率、壁深達度、リンパ節転移率で有意差を認めた。多変量解析では、術前CA19-9上昇、静脈侵襲、LNRが独立した再発危険因子として選択された。【結語】大腸癌stageIII症例において、LNRは再発ならびに予後を規定する因子の一つと成り得ると考えられた。
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