演題抄録

一般演題(口演)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

低分化型大腸がんのEGFR標的薬感受性に関する細胞株を用いた実験的研究

演題番号 : O59-4

[筆頭演者]
舎人 誠:1 
[共同演者]
小森 康司:1、木村 賢哉:1、木下 敬史:1、中西 速夫:2

1:愛知県がんセンター中央病院 消化器外科部、2:愛知県がんセンター研究所 腫瘍病理学部

 

「目的」低分化型大腸がんは一般に分化型大腸がんに比べ、転移性が高く、予後不良であり、効果的な分子標的治療法が存在しない。我々はこれまでにGefitinib, Cetuximabに対して高感受性を示す高転移性の低分化型大腸がん細胞株を樹立し、種々の検討を行ってきた。今回、本株を用いてGefitinibに対する感受性機構について解析した。「方法」当センター消化器外科にて切除された低分化型大腸がんの肝転移巣から樹立した転移性(COLM-5)細胞を用いて、in vitro, in vivo両面から解析した。また62例の大腸がん切除症例のEGFR, HER2, HER3発現について免疫組織学的に検討した「結果」COLM-5細胞は他の分化型大腸がん細胞株に比べて Gefitinibおよび Cetuximabに対してin vitroにおいてより高感受性であり、特にGefitinibはヌードマウス皮下移植腫瘍および肺転移に対して著効性を示した。COLM-5細胞はKRas変異を有さず、他の分化型腺癌細胞株と同様にEGFR(HER2)を中等度に発現するが、HER3の発現が著しく低下していた。In vitro 解析の結果、このGefitinib による増殖抑制はアポトーシス誘導ではなく、P27の発現上昇を介した細胞周期のG1期停止によるものであった。シグナル解析の結果、このP27誘導はHER3低発現による下流のPI3K/Aktシグナル低下が原因である可能性が示唆され、HER3低発現によるPI3K/Aktの不活化が高感受性に関与している可能性が示唆された。また切除症例の免疫組織学的検討では分化型大腸がんに比べて、HER3発現は低分化型大腸がんにおいて有意に低く、EGFR+/HER2+/HER3- パターンを示す癌が多かった。「結語」低分化型大腸がんではHER3の発現が低いものが多く、このことが薬剤耐性に関わることが知られているHER3/PI3K/Aktシグナル経路の不活性化をもたらし、Gefitinib高感受性のひとつの原因になっている可能性が示唆された。EGFR+/HER3-は大腸癌の新しい感受性予測因子となりうる可能性が示唆される。

キーワード

臓器別:大腸・小腸

手法別:分子標的治療

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