演題抄録

一般演題(口演)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

大腸癌術後補助化学療法におけるAmphiregulinの意義

演題番号 : O59-3

[筆頭演者]
大地 貴史:1 
[共同演者]
赤木 由人:1、衣笠 哲史:1、藤野 真也:1、石橋 慶章:1、田中 夏樹:1、吉田 直裕:1、弓削 浩太郎:1、岐部 史郎:1、吉田 武史:1、岡 洋右:1、溝部 智亮:1、笹冨 輝男:1、白水 和雄:1

1:久留米大学 外科

 

(はじめに)大腸癌においてEGFRシグナリングは腫瘍増殖の重要な因子であり、抗EGFR抗体薬の効果は大規模臨床試験により明らかになってきた。Amphiregulin(AREG)はEGFRリガンドの一つであり、大腸癌細胞株の中で最も発現が多い。現在までに原発巣のAREGの発現と予後との関連などを報告してきたが、今回術後補助化学療法とAREGの関連をretorospectiveに検討した。(対象と方法)1997年から2005年に当科でCurAもしくはCurB切除を施行された大腸癌230症例を対象とした。パラフィン包埋切片を用いて免疫組織学的検査を行った。プライマリーエンドポイントは癌特異的死亡とした。(結果)CurA症例は174例、CurB症例は56例であった。AREGは202例(87%)で陽性であった。また術後補助化学療法は104例(45%)で施行されていた。レジメは不揃いであったが、オキサリプラチンの使用はなく、フッカピリミジン系薬剤は必ず含まれていた。癌特異的死亡ではAREG陽性対陰性で5年生存率は82%対67%, p=0.0667であった。術後補助化学療法の有無で層別解析を行うと、補助化学療法施行104例において、癌特異的死亡は5年生存率でAREG陽性75%、陰性57%, p=0.0061とAREG陽性例が有意に予後良好であった。また術後補助化学療法未施行例126例ではAREG陽性89%, 陰性92%, p=0.7172で有意差を認めなかった。stage別の解析ではさらに顕著で、stageIV, curB症例56例においては、術後補助化学療法施行群43例においてMSTでAREG陽性が21カ月、陰性が8か月p=0.0028であった。Coxの比例ハザードモデルを用いた多変量解析においても、AREG陽性であればリスク比0.22, 95%信頼区間0.089-0.584, p=0.0031と有意に癌特異的死亡のリスクを軽減した。(考察)AREGはEGFRのみならず、IGF1Rやステロイドレセプターなどをbindingし、様々なシグナル伝達の上方制御を行っている。最近では抗EGFR抗体薬のバイオマーカーとして注目されている。その機序はいまだ不明であるが、今回の結果から、大腸癌原発巣のAREGの発現は細胞障害性薬剤の効果予測因子としての側面を持つことが示唆される。

キーワード

臓器別:大腸・小腸

手法別:バイオマーカー

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