演題抄録

一般演題(口演)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

大腸癌肝転移でのThymidine phosphorylaseの治療効果及び予後予測因子としての有用性

演題番号 : O59-1

[筆頭演者]
片岡 幸三:1 
[共同演者]
金澤 旭宣:1、中島 研郎:1、有本 明:1、河野 幸裕:1

1:大阪赤十字病院 外科

 

<背景>進行再発大腸癌において、化学療法の治療効果と予後予測に関連した分子生物学的マーカーはいくつか報告されているが、原発巣と化学療法後の肝転移巣でのマーカーの発現を検討した報告は未だない。今回我々は同一症例において大腸癌原発巣とオキサリプラチン併用化学療法後の肝転移巣双方における6つの分子生物学的マーカーの発現を比較し、それぞれの治療効果もしくは生存との相関を検討した。<方法> 2007年1月から2010年11月までに診断された他の遠隔転移を伴わない大腸癌肝転移の43例が対象。全例原発巣を外科的に切除した後、オキサリプラチンベースの化学療法が施行された。その後全例で肝転移巣に対して外科的肝切除術を施行した。原発と転移巣のそれぞれの標本からmRNAを抽出し、Thymidylate synthase (TS), Dihydropyrimidine dehydrogenase (DPD), Excision repair cross complementing gene 1 (ERCC1), Thymidine phosphorylase (TP), Folylpolyglutamate synthase (FPGS),そしてRegenerating islet-derived family, member 4 (REG4)の計6蛋白についてDTP法を用いてmRNAの発現を定量化し、治療効果及び予後との相関について比較、検討した。<結果>DTP法にて定量可能であったmRNAは43例中36例であった。肝転移巣におけるTPの発現の高値、及びTPの肝転移巣/原発巣の発現の比(以下L/P比)の高値、この二つは有意に化学療法の治療効果と正に相関していた。(それぞれP=0.046及び0.038)またTPのL/P比の高値、原発巣でのTP及びREG4の低発現、さらに原発、肝転移巣両方でのDPDの低発現は有意な全生存期間の延長を認めた。(それぞれP=0.039, 0.045, 0.022, 0.016, 0.032)。TS及びERCC1の2マーカーについて、今回の検討では治療効果及び予後の有意な相関は認められなかった。全生存期間との多変量解析では原発巣におけるDPDの高発現が有意な予後不良因子として挙げられた。(ハザード比 9.66 (95% CI: 1.04-89.52), P=0.046)<結語> TPのL/P比はオキサリプラチンベースの化学療法において治療効果と有意に相関し、さらには全生存期間においても同様に有意な相関を認めた。TPのL/P比は肝転移に限局した進行再発大腸癌において、有用な予後予測因子及び術後補助化学療法の治療効果を予測する因子となりうる。

キーワード

臓器別:大腸・小腸

手法別:トランスレーショナルリサーチ

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