演題抄録

一般演題(口演)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

10ナノスケール超微細粒子の全身投与はマウス固形腫瘍への核酸デリバリー効果を示した

演題番号 : O58-1

[筆頭演者]
呉 鑫:1 
[共同演者]
山本 浩文:1、植村 守:1、畑 泰司:1、西村 潤一:1、竹政 伊知郎:1、水島 恒和:1、土岐 祐一郎:1、森 正樹:1

1:大阪大学大学院医学系研究科 消化器外科

 

(背景と目的) RNA干渉現象に基づいたsiRNAの創薬研究は、世界中で盛んに行われているにも関わらず、比較的にデリバリーされやすい肝臓や腎臓、眼などの疾患以外では、顕著な成果が出ていない。特に固形腫瘍へのデリバリーが難しく、原因の一つとしてナノ粒子の大きさが挙げられ、通常は100nm前後のものが多く、正常組織への集積が問題となっている。今回我々が新たに開発した超微粒子ナノキャリア・スーパーアパタイト(sApa)法はnanomedicineとしては類をみない10nmサイズである。sApa粒子はリン酸、炭酸、カルシウムからなり、血中pH7.4では安定であるが、pH6環境下にある細胞エンドソーム内で速やかに崩壊して、内包物を放出するという特徴がある。我々は既にこのシステムを用いて抗癌剤ドキソルビシンを内包したナノ粒子が、マウス固形腫瘍モデルにおいて抗腫瘍効果を発揮したことを報告している(PLoS ONE 8(4): e60428.2013 )。今回は、in vitroのsiRNA導入効率の評価を行うと共に、マウスのおける正常組織と皮下腫瘍への分布蓄積、及びヒト大腸癌皮下腫瘍における抗腫瘍効果を明らかにする。(方法と結果)1、蛍光標識siRNAの大腸がん細胞内への取り込みの比較評価では、sApaは既存のLipofectamineより短時間で(4hr〜)かつ高い導入効率を示し、survivin標的siRNAの導入では、早期の標的タンパクの抑制、およびがん細胞の増殖抑制(48hr〜)効果が認められた。2、ヒト大腸癌皮下腫瘍モデルにおいて、蛍光標識siRNAを内包したsApaをマウス尾静脈より全身投与し、組織切片蛍光顕微鏡解析では、肝臓、脾臓、および腎臓での蓄積(4hrと12hr)が確認されず、腫瘍組織での有意な集積を認めた(naked siRNAの全身投与と比較して)。サイズが小さいために腫瘍血管から漏れ出た後、腫瘍周囲の腫瘍細胞のみならず遠くの腫瘍細胞にまで到達したことも確認できた。3、ヒト大腸癌皮下腫瘍モデルにおいて、survivin標的siRNAを内包したsApaをマウス尾静脈より全身投与して、通常の5分の1程度のsiRNA量で、抗腫瘍効果が確認され、マウスsacrifice後の腫瘍におけるsurvivinの免疫染色でも、標的タンパクの抑制が確認できた。(考察)実験レベルにおいても、皮下固形腫瘍への全身投与で効率的なデリバリー効果を示すシステムがない中で、10nmという世界最小の核酸デリバリーシステムとして、sApaの有効性を示唆された。

キーワード

臓器別:大腸・小腸

手法別:遺伝子治療

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