演題抄録

一般演題(口演)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

頭頚部癌患者における放射線化学療法中合併症に対する口腔管理の影響

演題番号 : O5-5

[筆頭演者]
西 裕美:1 
[共同演者]
上田 勉:2、田中 良治:1、梶谷 佳世:3、太田 耕司:4、片桐 佳明:2、大毛 宏喜:5、平川 勝洋:2、小川 哲次:1

1:広島大学病院  口腔総合診療科、2:広島大学病院 耳鼻咽喉科・頭頚部外科、3:広島大学病院 診療支援部歯科衛生部門、4:広島大学病院 口腔顎顔面再建外科、5:広島大学病院 感染症科

 

【目的】2012年度にスタートした「5年間のがん基本対策法」において,癌患者における口腔管理が,癌治療の支持療法として明確に位置づけられた.これは治療中の口腔管理が,治療成績や質の向上に寄与することを明言したものであるが,効率的に実践するには「口腔内細菌が原因となる合併症の予防」を支持療法の基本方策とし,徹底した感染源の除去を優先させる口腔管理が必要である.近年,口腔ケアによる医科診療科への治療支援の報告は散見されるが,癌患者の口腔管理による口腔内細菌数の変化と合併症への影響は不明である.今回我々は,頭頚部領域の放射線化学療法を行った患者において,口腔管理開始後からの口腔内細菌数および口腔粘膜水分量の解析を行い,治療中に発症した口腔内合併症との関連について検討を行った.
【方法】対象は当院耳鼻咽喉科・頭頚部外科で頭頚部領域腫瘍により放射線化学療法を行った患者のうち,本研究の目的に同意した34名(男性29名,女性5名,平均年齢67.4歳)を対象とした.方法は,放射線化学療法中の合併症に対して,感染源のリスクとなる要加療歯の治療と口腔衛生管理を行い,口腔管理と合併症との関連性について検討した.また口腔水分計「ムーカス」(株式会社ライフ)を用い,診療開始前に舌背部を3回測定した値を口腔水分量の平均値として解析を行った.さらに,舌背部を滅菌綿棒にて3往復擦過し測定液に懸濁したものを,口腔内細菌数測定装置「細菌カウンタ」(パナソニックヘルスケア)を用いて細菌数を測定した.
【結果と考察】放射線化学療法における口腔水分量の低下に伴い,口内炎等の口腔内合併症が増悪することが認められた.また口腔管理前後の口腔内細菌数の変化を検討した結果,半数以上の患者において経時的に細菌数の減少を認めた.また25%の患者において細菌数は経時的に増減してはいたが,測定値として口腔内細菌数の正常値(1000万個)以下で維持されていた.さらに口腔管理前後の口腔内環境と口腔内合併症には有意な相関が認められた.今回の結果から口腔管理による口腔内細菌数の減少,口腔水分量の維持が治療中の合併症を減少させることが示唆された.治療中の口腔内環境の変化を明示化させることで,多職種間のみならず患者自身も口腔管理に関して共通認識を有し,口腔管理・セルフケアの重要性を認識することが可能になると考えられた.

キーワード

臓器別:口腔

手法別:支持療法

前へ戻る