演題抄録

一般演題(口演)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

スペーサー手術と粒子線照射による腹部・骨盤部悪性腫瘍の治療

演題番号 : O48-1

[筆頭演者]
福本 巧:1 
[共同演者]
木戸 正浩:1、武部 敦志:1、田中 基文:1、蔵満 薫:1、木下 秘我:1、小松 昇平:1、松本 逸平:1、味木 徹夫:1、出水 祐介:3、不破 信和:3、佐々木 良平:2、具 英成:1

1:神戸大学 肝胆膵外科、2:神戸大学 放射線腫瘍科、3:兵庫県立粒子線医療センター

 

【目的】外科的切除が第一選択となる腹部・骨盤部悪性腫瘍でも切除不可能な近接臓器・器官に浸潤した場合、治療困難となる。我々はこの外科的切除限界を克服するため、手術の役割を転換し、手術を治療の場の提供に用い、メスに代わって粒子線で腫瘍を切り取る2-step treatmentを開発した。2-step treatmentでは第一治療として手術的にスペーサーを留置し、耐容線量の低い消化管を照射経路や腫瘍周囲から排除することで第二治療の粒子線照射を可能としている。線量集中性に優れた粒子線を用いることで照射経路上および消化管と腫瘍の距離を約10mm確保できれば腹部・骨盤部悪性腫瘍でも根治線量の照射が可能となる。【対象と方法】2006年9月からスペーサーとして主にゴアテックスシートや大網を用い、切除や化学療法で予後が期待できない難治性腹部・骨盤部悪性腫瘍を対象として2-step treatmentを開始した。ほとんどの症例でスペーサー手術後3週間前後に粒子線治療が可能だった。粒子線は炭素線および陽子線を用い、腺癌に対に対しては65-70GyEを照射した。【結果】現在までに肝癌16例、転移性肝癌3例、肝門部胆管癌11例、膵癌8例、直腸癌局所再発23例、後腹膜腫瘍19例、仙骨部脊索腫22例など119例に2-step treatmentを実施した。全体の局所制御率は80%以上で肝門部胆管癌および膵体尾部癌では30ヶ月以上生存を認めている。スペーサーとしてはゴアテックス87例, 大網+間膜充填5例、腫瘍部分切除+間膜充填9例、人工肛門増設9例、その他7例を用いた。合併症としては腸閉塞1例、ヘルニア1例、骨盤内膿瘍1例、粒子線照射後の合併症としては十二指腸潰瘍穿孔1例、膀胱直腸瘻1例、難治性皮膚潰瘍1例を認めた。【吸収性スペーサーの開発】ゴアテックスシートは非吸収性であることから永久的に残留し、感染や組織障害のリスクを有する。また含気量が多く粒子線遮蔽力の不足が明らかとなった。そのため2009年度より産学協同でポリ乳酸を原料とした吸収性スペーサーの開発を開始した。このスペーサーは平成24年度の経済産業省の課題解決型医療機器開発事業に採択され、現在前臨床試験の段階で、2014年度に臨床試験、2016年の市販を目指し開発を進めている。【結論】外科と放射線治療の融合により腹部、骨盤部悪性腫瘍の根治的治療域の拡大が可能になった。吸収性スペーサーの開発により2-step treatment対象疾患のさらなる拡大が期待される。

キーワード

臓器別:膵臓

手法別:放射線治療

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