演題抄録

一般演題(口演)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

小細胞肺癌におけるUGT1A1遺伝子多型の臨床的意義

演題番号 : O44-2

[筆頭演者]
峯岸 裕司:1 
[共同演者]
大森 美和子:1、渡邉 淳:2、西島 伸彦:1、松本 優:1、宮永 晃彦:1、野呂 林太郎:1、清家 正博:1、島田 隆:2、弦間 昭彦:1

1:日本医科大学付属病院 化学療法科/呼吸器内科、2:日本医科大学付属病院 遺伝診療科/ゲノム先端医療部

 

背景:塩酸イリノテカン(CPT-11)はトポイソメラーゼI阻害作用を有する抗悪性腫瘍薬であり,肺癌・大腸癌・婦人科癌などでは標準的治療薬の一つである.UDP-グルクロン酸抱合酵素(UGT)はCPT-11の重要な代謝酵素であり,UGTをコードする遺伝子(特にUGT1A1)には代謝活性の異なる複数の遺伝子多型が存在,CPT-11代謝に影響を及ぼし重篤な有害事象発現への関与が報告されている.しかしながら,遺伝子多型による投与量の設定には見解が一致していない現状が認められている.患者・方法:対象は,UGT1A1遺伝子多型が確認されており,2008年12月から2012年12月にイリノテカンを含む化学療法が実施された小細胞肺癌患者50例である.UGT1A1*6および*28遺伝子多型は,患者の同意を取得後,当院ゲノム診断部にてインベーダー法を用いて解析された.遺伝子多型は,野生型,ヘテロ型(*8/*28),ホモ型(複合ヘテロ型を含む)に分類した.化学療法は,シスプラチン 60mg/m2(day1)もしくは30mg/m2(Day1,8,15)とCPT-11 60mg/m2(Day1,8,15)併用療法(4週間隔)が用いられた.患者診療録より患者背景,有害事象,CPT-11投与量の変更および生存期間について遺伝子多型別に比較検討を行った.結果:患者背景は,平均年齢66歳,男/女 40人/10人,全員が喫煙者であった.病期別では,IIIA/IIIB/IV/再発 2人/6人/39人/3人,Performance status(PS)0/1/2/3 18人/28人/3人/1人,遺伝子多型 野生型/ヘテロ型/ホモ型 29人/19人(*6 14人/*28 5人)/2人(*6*6 1人/*6*28 1人),遺伝子多型において患者背景に差は認められなかった.CPT-11の減量は,野生型で13人(45%),ヘテロ+ホモ型で12人(57%)に認められた.Grade3以上の有害事象では,野生型/ヘテロ+ホモ型それぞれ好中球減少 16人/6人,発熱性好中球減少症 2人/1人,下痢 2人/1人と有意差を認めなかった.また,生存期間についても両群間に有意差は認めていない.結語:本検討の結果からは,UGT1A1遺伝子多型によりCPT-11投与量減量を義務化する必要性は認められなかった.肺癌においてはCPT-11が低用量の分割投与であり,治療開始後でも投与量再設定が可能であるためと考えられる.当科で経験したホモ型2例には重篤な有害事象は認められなかったが,症例が少なく検証には不十分と考えられる.

キーワード

臓器別:肺・縦隔・胸膜

手法別:化学療法

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