演題抄録

一般演題(口演)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

上部尿路癌から膀胱への腫瘍細胞播種に関する検討

演題番号 : O42-6

[筆頭演者]
伊藤 明宏:1,4 
[共同演者]
新宅 一郎:2,4、佐藤 信:3,4、山下 慎一:1,4、荒井 陽一:1,4

1:東北大院 泌尿器科、2:仙石病院、3:仙塩利府病院、4:東北EBMフォーラム

 

【目的】上部尿路癌の術後膀胱再発に対する予防的治療を目的として、術直後のTHP単回膀注の有効性を評価する多施設共同無作為比較試験THPMG Trailの結果、THP膀注の有効性を示す結果が得られた(J Clin Oncol 31:1422-1427.2013)。今回、更なる解析を行い、上部尿路癌から膀胱への腫瘍細胞播種とTHPの抗腫瘍効果について検討を行った。【対象と方法】2005年12月から2008年11月までに、東北大学および関連施設において上部尿路癌と診断され、遠隔転移なく根治切除の期待できる症例を対象。膀胱腫瘍の既往や同時発生例を除外。術前にTHP注入群(N=39)と非注入群(N=38)に無作為に割り付けを行い、腎尿管全摘後48時間以内にTHPを膀注。術後3ヶ月毎に膀胱鏡検査を行った。今回の検討では、非注入群における種々の因子の膀胱再発への影響や、膀胱再発症例の膀胱再発部位を解析し、上部尿路癌から膀胱への腫瘍細胞播種について検討した。【結果】非注入群においては、尿細胞診陽性が膀胱再発に有意に影響する因子であった(HR 5.54, 95%CI:1.12-27.5, p=0.036)。また、尿細胞診陽性例の膀胱再発はTHP注入により有意に抑制されており(Log rank p=0.0001)、尿細胞診陽性例における膀胱再発に影響する因子の多変量解析でも、THP注入が膀胱再発を有意に抑制する因子であった(HR 0.02, 95%CI:0.00-0.53 p=0.018)。一方、膀胱での再発部位は、膀胱カフ切除部周囲と尿道カテーテルのバルーンが接触している膀胱頸部が多く、約8割の症例がこの部位での再発であった。【考案】手術操作や尿道カテーテル留置によって損傷された膀胱上皮には、腫瘍細胞が接着しやすくなることが知られている。膀胱内に癌細胞が浮遊していても術前には膀胱癌が形成されなかった尿細胞診陽性例では、手術操作やカテーテルにて損傷を受けた膀胱上皮に癌細胞が接着することで、術後に膀胱再発を引き起こすものと考えられる。【結論】術直後のTHP膀胱内注入療法は、術後の浮遊細胞に対する抗腫瘍効果を発揮することで、膀胱再発予防として合理的な治療法と考えられる。THP注入による膀胱内再発予防治療を確立するためには、大規模での第3相試験が必要と考えられ、また、それにより膀胱再発メカニズムの詳細な解析が可能になるものと期待される。

キーワード

臓器別:腎・尿路・膀胱

手法別:手術療法

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