一般演題(口演)
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腎部分切除後における腎機能の推移、制癌効果とそれに影響する因子についての検討 演題番号 : O41-6
1:杏林大学医学部付属病院 泌尿器科
【背景】現在の知見では、小径腎腫瘍に対する腎部分切除術(Partial Nephrectomy:PN)は,腎全摘除術(Radical Nephrectomy:RN)と比較した場合、制癌性については同等であり、腎機能の面ではRNに比べ優れているといわれる。今回、PN各術式における術前後の腎機能推移と、それに影響を与える因子についての検討とともに、それぞれの術式の予後、合併症についての検討を行った。【対象】1994年4月から2012年6月までに、杏林大学泌尿器科で初発・原発・単腎ではない腎腫瘍に対し施行されたPN115例の内、術後6か月以上経過が追跡可能であった87例をretrospectiveに解析した。腎機能はeGFR(ml/min/1.73m2)を算出して用いた。腎機能推移は術前eGFR/術後eGFR値(=術前後eGFR比)で評価した。統計解析ではt検定、カイ2乗検定、重回帰分析等を用いた。【結果】当科ではPNは原則cT1a症例に対して施行している。腎腫瘍診断時の平均年齢は59.4(歳)で、男女比は66:21(人)であった。平均腫瘍径は26.3(mm)、平均温阻血時間(warm ischemia time:WIT)は23.1(分)であった。PN群(すべての術式を含む)での術前後eGFR比は、RN群での術前後eGFR比べ、全ての期間において有意に高値であった。PNの各術式における術前後eGFR比の比較では、阻血下開腹群(0pen PN:OPN)が阻血下腹腔鏡群(Laparoscopic PN:LPN)に比べ、全ての期間で有意に高値であった。OPN時の術前後eGFRに影響を及ぼす因子の重回帰分析において、最終的に有意であったのは温阻血時間(P=0.034)であった。また、OPNにおいての検討では、WITが24分以前の群は25分以上の群と比較して、有意に術前後eGFR比が優れていた。予後と術後合併症については、各術式間で有意差はなかった。当日は詳細なデータと共に文献的考察を含めて報告する予定である。
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