演題抄録

一般演題(口演)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

悪性脳腫瘍に対する原子炉中性子源によるBNCTの治療成績

演題番号 : O4-5

[筆頭演者]
川端 信司:1 
[共同演者]
平松 亮:1、松下 葉子:1、古瀬 元雅:1、黒岩 敏彦:1、鈴木 実:2、小野 公二:2、宮武 伸一:1

1:大阪医科大学 医学部 脳神経外科、2:京都大学原子炉実験所

 

【目的】ホウ素中性子捕捉療法(boron neutron capture therapy, BNCT)は、理論上細胞レベルで腫瘍選択的照射が可能な粒子線治療である。我々は、独自に工夫・改良を加えた本治療法を積極的に悪性脳腫瘍に適用し、これまでの本学会でも有効性を示してきた。BNCTは原子炉を中性子源とした特別な治療であったが、最近加速器を中性子源とした治験が開始された。本報告では、原子炉でのこれまで治療経験を解析し、加速器BNCT時代に向けた方向性について検討を加える。
【対象】当院では、2002年からBNCTを開始し、120例以上の悪性脳腫瘍患者に対して原子炉を中性子源とした治療を実施した。
【結果】治療成績は、新規診断または再発の悪性神経膠腫、悪性髄膜腫のいずれにおいても良好であり、特に予後不良といわれる群での腫瘍制御効果が高いことがわかった。安全性調査では十分な許容範囲にあることが示されたが、治療は個々の患者で腫瘍制御・安全性双方に配慮し実施されていることが多く、その評価・解釈は困難であった。照射野皮膚線量と正常脳線量には相関がみられ、皮膚線量は主に7 - 13Gy-eqに分布した。また、照射中静注としたホウ素化合物BPA (500mg/kg)単剤使用では、照射前のホウ素濃度が28.9±5.3 µg10Boron/mLに対して照射直後(投薬から3時間後)の濃度は28.1±4.6であり、照射中の血中ホウ素濃度はほぼ一定(照射前に対し0.98±0.06)に保たれた。
【結論】BNCTにおいては、(正常組織への)安全性評価と(腫瘍制御に対する)有効性評価はそれぞれを結び付ける因子が複数存在し、必ずしも単純に相関を示さない。これまでの臨床試験では、ホウ素化合物の投与量や腫瘍に対する線量を規定する試験が多い。BNCTでは照射線量(中性子照射時間)の調整によって安全性・有効性の評価がなされるべきであり、ホウ素化合物の漸増ではBNCT全体の評価としては不十分となりうることが解った。BNCTは、ホウ素化合物の投与プロトコルが異なるだけで別の治療になり得るため、正常組織の線量を一定にし、腫瘍線量は偶発的に患者毎に変化するという考えをもとに、有効性の評価・有効例の検討を行うことが重要である。BNCT治療の安全性を評価する場合は、正常組織への照射線量を指標とするのが望ましいと考えられ、そのうえで治療効果を解釈し、腫瘍局在や薬剤分布の違い等、BNCT特有の因子については別に解析を行う必要がある。

キーワード

臓器別:脳神経

手法別:放射線治療

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