演題抄録

一般演題(口演)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

デノスマブを投与した乳癌骨転移症例における安全性の検討

演題番号 : O39-4

[筆頭演者]
柄川 千代美:1 
[共同演者]
沖代 格次:1、加藤 健志:1、武田 裕:1、谷口 博一:1、中平 伸:1、向坂 英樹:1、竹野 淳:1、賀川 義規:1、桂 宜輝:1、田村 茂行:1、高塚 雄一:1

1:関西労災病院 外科

 

はじめに 当科では2012年9月に乳癌骨転移症例においてデノスマブを使用開始した。しかし、デノスマブとの因果関係が否定できない重篤な低カルシウム(以下Ca)血症が発現したため、2012年9月にブルーレターによる注意喚起がなされた。2012年9月~11月間に投与開始した症例は主にデノスマブ投与日にCa値の測定を行っていたが、ブルーレターの内容を院内で検討し、2012年12月以後はデノスマブ初回投与において、投与日の他に、day 3-5のいずれか、day8、day15に血清Ca、無機リン、アルブミン、クレアチニンなどをモニタリングすることとした。
対象と方法 デノスマブを投与した乳癌骨転移18例の血清Ca値の変動を解析した。18例中7例に初回投与時の頻回なモニタリングを施行した。また、臨床検査値以外の安全性および、NSAIDとオピオイドの使用状況からデノスマブ投与後の骨転移による疼痛の変動についても検討した。低Ca血症の対策としてデノスマブ投与日より1日乳酸カルシウム4g、アルファカルシドール1μgを処方した。Ca値はアルブミン補正を行い、CTCAE v4.0により解析した。
結果 対象者の年齢中央値54歳(39-77歳)、ゾレドロン酸使用歴あり8例、疼痛に対して薬剤投与なし8例、NSAIDのみ4例、オピオイド6例であった。デノスマブ投与回数中央値は4回(1-7回)であった。デノスマブ開始時の治療は化学療法6例、内分泌療法9例、Best supportive care (BSC)のみ3例であった。低Ca血症は4例に発症、全例Grade 1であり、緊急処置を要する症例はなかった。発現時期はday3-5: 2例、1か月目: 1例、6か月目: 1例であった。他に重篤な電解質異常や腎機能障害、顎骨壊死を認めなかった。疼痛の変動においては2例に増悪を認めており、1例は疼痛に対する治療はしていなかったが、NSAIDと放射線療法を必要とした。あとの1例はNSAIDのみからオピオイドの併用を必要とした。この2症例はいずれも治療はBSCのみであった。2例において疼痛が軽減し、オピオイドの減量が可能であった。
結語 乳酸カルシウムとアルファカルシドールを適切に投与することにより低Ca血症を4例に認めたが重篤なものではなかった。BSC+デノスマブによる治療を行った症例では2例が疼痛の増悪を認めており、デノスマブによる単剤では病勢のコントロールは困難であることが示唆された。デノスマブと乳癌に対する適切な治療を併用した上で、疼痛軽減を得られる症例も経験した。

キーワード

臓器別:乳腺

手法別:分子標的治療

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