演題抄録

一般演題(口演)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

トリプルネガティブ乳癌における術前化学療法効果予測因子としてのTLE3の有用性

演題番号 : O37-5

[筆頭演者]
柏木 伸一郎:1 
[共同演者]
石原 沙江:1、浅野 有香:1、呉 幸枝:1、渡邊 真央:1、森崎 珠実:1、青松 直撥:1、野田 諭:1、川尻 成美:1、高島 勉:1、小野田 尚佳:1、石川 哲郎:2、平川 弘聖:1

1:大阪市立大院 腫瘍外科、2:市立柏原病 外科

 

【背景】Anthracyclin regimenに加えTaxaneを遂次併用する乳癌術前化学療法は,今や標準治療として位置づけされるようになり,有用性・忍容性が明らかとなった.しかしながら,効果を予測し得るバイオマーカーや臨床的因子の存在は未だ明らかではなく,その解明が望まれる.術前化学療法前に治療効果予測を的確に行うことができれば,治療効果に直結するだけでなく,無効な治療による有害事象を回避することが可能となる.一方で,難治性乳癌であるトリプルネガティブ乳癌 (TNBC) においては,病理学的完全奏効 (pCR) を得られることで良好な予後が期待されるためpCRを予測し得るマーカーが重要となる.今回われわれは,TNBCにおける術前化学療法のバイオマーカーの検索を行った.【対象と方法】2004年から2010年に当科においてFEC (5FU + epirubicin + cyclophosphamide) followed by paclitaxelにて術前化学療法を施行したstage II, IIIの乳癌患者130例を対象とした.ER, PR, HER2, Ki67発現を指標にintrinsic subtypeに分類した.術前化学療法施行前の針生検標本を用い,transducin-like enhancer of split 3 (TLE3), β-tubulinIII発現を免疫組織化学的に検討した.抗腫瘍効果は,RECISTに準拠した治療効果の判定基準に基づいて評価した.pCRの基準は,リンパ節を含め浸潤巣が完全に消失したものとし,乳管内成分の有無については問わないものとした.【結果】術前補助化学療法症例130例のなかで,TNBCは39例 (30.0 %) であった.pCRは41例 (31.5 %) に認められ,TLE3発現の有無による有意差はなかった (p=0.062).またサブタイプ別のpCR率においても,TNBC 15例 (38.5 %) とnon-TNBC 26例 (28.6 %) では有意差はなかった (p=0.266).臨床病理学的背景とTLE3の発現を検討したところ,TNBCではnon-TNBCと比較してTLE3の発現を有意に高率に認めた (p<0.001).さらにTLE3発現のあるTNBC症例は,TLE3発現のないTNBC症例に比べてpCRが有意に高率 (p=0.002) であったが,non-TNBC症例ではTLE3発現による効果の差を認めなかった (p=0.363).一方でβ-tubulinIII発現においては,いずれも有意な差は認められなかった.【結語】TNBCにおいて,TLE3は術前化学療法における治療効果予測因子である可能性が示唆された.

キーワード

臓器別:乳腺

手法別:バイオマーカー

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