演題抄録

一般演題(口演)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

全国のがん患者のQuality of Life: 平成23年度受療行動調査と一般市民の比較

演題番号 : O33-6

[筆頭演者]
宮下 光令:1 
[共同演者]
加藤 雅志:2、清水 恵:1、佐藤 一樹:1、藤澤 大介:2、森田 達也:3

1:東北大院、2:国立がんセ、3:聖隷三方原病

 

【背景】がん対策推進基本計画では全体目標に「全てのがん患者とその家族の苦痛の軽減と療養生活の質(Quality of Lifeの維持向上」が掲げられている。しかし、これを全国から代表性がある方法でモニタリングする指標はなかった。そこで我々は政府統計である受療行動調査と患者調査のデータリンケージに基づきがん患者の療養生活の質を向上するシステムを開発した。平成23年度にこのシステムを用いた受療行動調査が実施され、結果が公表された。しかし、この結果の解釈には一般市民に対する同様の調査を行い比較する必要がある。【目的】平成23年度受療行動調査に基づく全国のがん患者の療養生活の質と一般市民の療養生活を比較する。【方法】調査方法は自記式質問紙調査である。平成23年度受療行動調査は全国から層化無作為抽出された485病院の150,260人に対して実施され、約9000人(入院5000人、外来4000人)のがん患者が回答した。一般市民調査は平成25年2月に全国から層化無作為抽出した20~79歳の一般市民に対して行い789人が回答した。療養生活の質を測定する項目は「からだの苦痛がある」「痛みがある」「気持がつらい」の3項目である。受療行動調査のデータと一般市民データの比較には受療行動調査を基準とし性年齢によって重みづけを行い比較した(一般市民は外来と入院で異なる重み付けの数値を表示している)。【結果】「からだの苦痛がある」と回答したがん患者は入院56%、外来35%であり、一般市民では32~34%であった。「痛みがある」と回答したがん患者は入院48%、外来28%であり、一般市民では35~35%であった。「気持がつらい」と回答したがん患者は入院50%、外来31%であり、一般市民では24~24%であった。【考察】本方法は世界的にも画期的ながん患者のQuality of Lifeを全国から代表性がある方法でモニタリングする方法である。それぞれの指標において、入院患者の療養生活の質は一般市民と比較して13~26ポイント高く改善の必要性が考えられた。しかし、外来患者においては一般市民と大きな差はみられず、痛みに関しては一般市民より低かった。今後、受療行動調査を利用してがん政策を療養生活の質の視点から経時的に評価していくことが可能であるが、その目標値の設定や数値の解釈は一般市民のデータを考慮しつつ、がん患者特有の身体的・心理的苦痛に配慮しながら行う必要がある。

キーワード

臓器別:その他

手法別:QOL

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