演題抄録

一般演題(口演)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

医学生に対する医師国家試験問題を用いた対話形式の緩和ケア教育の試み

演題番号 : O33-3

[筆頭演者]
大谷 眞二:1 
[共同演者]
池口 正英:1

1:鳥取大医 病態制御外科

 

【はじめに】わが国の2人に1人が悪性腫瘍(以下,がん)に罹患し,3人に1人ががんで死亡する時代を迎え,大半の医師にとってがん診療は避けて通ることができない.また,がん対策基本法の中ではすべてのがん患者に緩和ケアが適切に導入されることの重要性や,がんと診断された時からの緩和ケアの推進が述べられている.しかしながら緩和ケア教育の普及は充分とは言えず,医療者のみならず卒前の教育体制の整備も必要とされているが,多くの医学部で系統的な緩和ケア教育は充分でないと言われている.その一方で,医師国家試験の出題基準の変更に伴い,緩和ケア領域の出題が増加している.そこで,効率的に緩和ケアの卒前教育を行うことを目的として,医師国家試験(以下,国試)を用いた対話形式の講義を臨床実施中に取り入れたので報告する.【方法】2012年10月から2013年4月まで当院の消化器外科・小児外科で臨床実習を行った医学部5年次学生のうち7グループ(1グループ3〜5人),計30人に対してグループごとに1時間の緩和ケア講義を行った.講義は対話形式とし,資料として第105回(2011年),第106回(2012年)国試問題を使用した.この2回の国試に出題されていた緩和ケアに関する出題は一般問題3題,症例問題6題の計9題(設問として11問)で,内訳は総論(病状説明,制度,職種の連携など)4問,病態の理解2問,疼痛管理に関するもの(疼痛ラダー,オピオイドの使い方・副作用など)2問.疼痛以外の管理(呼吸困難等)2問,緩和目的の積極治療(緩和的手術など)2問であった(複数の内容を含んだ設問あり).【結果】内訳別の正答率は総論80%,病態の理解50%,疼痛管理80%で,とくにモルヒネの基本的な使用法や副作用については,ほぼ全員が正答していた.一方,疼痛以外の管理や緩和目的の積極治療についての正答率は10%であった.一般問題と症例問題ともほぼ50%の正答率であったが,患者背景を考慮していない解答が目立った.【考察】疼痛管理の基本についての理解は比較的良好であったが,疼痛以外の症状の対応についての理解は不充分であった.とくに呼吸困難に対するモルヒネ投与や緩和的手術についての基礎知識はなく,現に国試に出題され,かつ実臨床でも認知度が低いため,この点を授業内容にフィードバックする必要があると考えられた.また,双方向のやりとりにより教える側にも得るところが大きいと考えられた.

キーワード

臓器別:その他

手法別:緩和医療

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