演題抄録

一般演題(口演)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

T細胞不活化経路の臨床的意義および新規消化器癌治療の可能性

演題番号 : O3-4

[筆頭演者]
庄 雅之:1 
[共同演者]
赤堀 宇広:1、野見 武男:1、山戸 一郎:1、西和田 敏:1、安田 里司:1、八木田 秀雄:2、中島 祥介:1

1:奈良県立医科大学 消化器・総合外科、2:順天堂大学免疫学

 

【目的】CTLA-4やPD-1に対するヒト型抗体を用いた最近の臨床試験の結果から,T細胞不活化を制御する新たな癌治療への期待が急速に高まっている.教室でこれまで行ってきた一連の研究成果から消化器癌に対する有用性について検討した.【方法】膵癌や食道癌などの難治性消化器癌標本を用いてT細胞活性化における負の調節因子であるPD-L,B7-H3, CD155等の腫瘍発現を免疫染色にて評価し,予後および臨床病理学的因子との関連から,それらの臨床的意義を検討した.さらにマウス消化器癌モデルを用いて,各阻害抗体によるin vivoでの治療効果および集学的治療の可能性を多角的に検証した.【結果】(1) PD-L, B7-H3, CD155発現の臨床的意義:膵癌,食道癌においてPD-L,CD155の高発現群は,いずれも低発現群と比して予後不良であり,多変量解析の結果,各々有意な独立予後因子であった.また膵癌におけるB7-H3発現は,癌部での発現が,非癌部に比し常に高く,リンパ節転移,Stageと有意に関連していた.(2) 宿主免疫との関連:免疫染色により腫瘍内浸潤CD4+及びCD8+T細胞との関連を検討したところ,PD-LおよびCD155と有意な逆相関が認められた.(3) 抗体治療による抗腫瘍効果:大腸癌株CT26を用いたマウスモデルにおいて抗PD-1,抗CTLA-4各阻害抗体投与はCD8+T細胞腫瘍内浸潤を促進させ,有意に腫瘍増殖を抑制した.特に抗体併用によるPD-1/CTLA-4同時阻害により,強力な腫瘍退縮効果が認められた.腫瘍局所のIFN-g, Perforin等の発現は有意に上昇し,抗体治療は局所の免疫活性を上昇させるものと考えられた.さらに腫瘍の完全退縮が認められたマウスにおける腫瘍再接種実験によって,抗体投与後にメモリー細胞が誘導され,長期間持続する腫瘍抗原特異的免疫応答を能動的に誘導し得ることが明らかとなった.(4) 集学的治療の可能性:PAN02を用いた膵癌モデルでは,抗PD-1抗体や抗B7-H3抗体とGemcitabineとの併用により相乗的抗腫瘍効果が認められた.したがって化学療法との併用が有用であることが示唆された.また術前治療としての抗PD-1,抗CTLA-4抗体の単回投与により,腫瘍切除後の腫瘍再生着を有意に抑制し得た.【結論】T細胞Negative Pathwayが臨床消化器癌において重要な機能を果たしていると思われた.それらを標的とした抗体治療ならびに化学療法,手術療法との集学的治療が新たな治療戦略となり得る可能性は高いと考えられた.

キーワード

臓器別:その他

手法別:トランスレーショナルリサーチ

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