演題抄録

一般演題(口演)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

通常酸素・低酸素条件下におけるmTOR阻害剤(Temsirolimus)の放射線増感効果

演題番号 : O3-2

[筆頭演者]
牛島 弘毅:1 
[共同演者]
鈴木 義行:1、尾池 貴洋:1、小町 麻由美:1、安藤 謙:1、吉本 由哉:1、野田 真永:1、斎藤 淳一:1、中野 隆史:1

1:群馬大院腫瘍放射線学

 

【背景】低酸素条件下の細胞は放射線抵抗性を示すことが知られており、臨床においても腫瘍内の低酸素細胞分画の多少と局所制御率が相関することが報告されている。mammalian target of rapamycin(mTOR)はAkt-PI3 kinase経路の下流の蛋白であり、細胞の増殖・生存と深く関わっていることが知られ、すでにmTOR阻害剤は本邦でも腎癌などに対する分子標的薬として臨床応用されている。近年、mTORが低酸素条件下の細胞生存にも関する蛋白として注目されており、HIF-1の発現を修飾すると報告されている。低酸素条件下の放射線治療抵抗性にmTORが関連する可能性を考え、mTOR阻害剤(Temsirolimus)による通常酸素/低酸素状態での放射線感受性の修飾を検討した。【方法】実験にはヒト肺腺癌由来細胞株A549、mTOR阻害剤mTOR阻害剤はTemsirolims(Pfizer)を最終濃度1nMに希釈し、X線照射前48時間、A549に暴露させた。酸素分圧<0.1mmHgの低酸素条件下で24時間培養を行い、以下の検討を行った。タンパク発現に関してはウェスタンブロット、細胞生存率はcolonogenic assay法により解析した。およびX線照射に対する生存率を検討した。また、細胞の生存が10%となる線量(D10)から酸素増感比(OER)を求めた。【結果】通常酸素・低酸素条件下ともに、Temsirolims併用によりmTORの発現は抑制された。また、Temsirolims併用群では、低酸素条件下で誘導されるHIF-1αの発現抑制が確認された。X線単独での、通常酸素/低酸素条件下のD10は、それぞれ5.1Gy、14.2Gyで、OERは2.8であった。Temsirolimus併用群では、それぞれ4.8Gy、5.4Gyで、OERは1.1であった。通常酸素条件下でのTemsirolimusを併用した場合の殺細胞効果は相加効果と考えられたが、低酸素条件下ではTemsirolimus併用により細胞生存率は特に高線量域において著明に低下し、低酸素下での放射線増感作用を持つと考えられた。【結語】Temsirolimus併用により、低酸素条件下で放射線増感効果が認められ、mTORが低酸素細胞の放射線治療抵抗性に関連する因子である可能性が示唆された。その機序としてmTOR阻害薬によるHIF-1α発現低下が関連している可能性が考えられた。

キーワード

臓器別:その他

手法別:放射線治療

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