演題抄録

一般演題(口演)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

がん幹細胞の制圧はがんの治癒に貢献できるか?

演題番号 : O3-1

[筆頭演者]
藤本 二郎:1 

1:兵庫県健康財団

 

がんの抗がん剤難治性はがん幹細胞(CSCs)に起因するとの風潮がある。これはin vitroの知見に基づくものであるが、in vivoの動物実験ではCSCsの制圧だけでは坦がん動物の延命は得られないとの実験結果が得られた。
Fujimoto ascites tumor(FAT)坦がんマウスにブレオマイシン(BLM) 37.0mg/kgの単回腹腔内(i.p.)投与前と投与後24、48および96時間のside population cellsの比率はそれぞれ4.73%、0.64%、0.35%および0.30%と顕著に低下した。しかしながらBLM 37.0あるいは111.1mg/kgの単回i.p.投与後のFAT坦がんマウスの腫瘍細胞の分裂指数は増加の傾向を示し、腫瘍細胞数は48時間までは低下するものの、それ以後は無処置対照群に優るとも劣らぬ増殖を起こし、その結果FAT坦がんマウスの延命効果は認められなかった。
フローサイトメーターによりBLM 37.0mg/kg 単回i.p.投与後の細胞周期を測定したところ、24時間ではG0の顕著な低下とG1およびSG2Mの増加がみられ、このSG2Mの増加は48時間ではさらに高度となった。48時間でのG0およびG1はそれぞれBLM投与前のレベルにまで増加および低下し、96時間ではG0の増加とG1およびSG2Mの減少を認めた。BLM投与による腫瘍細胞数の減少がG0休止期の細胞を細胞分裂サイクルに復帰(recruitment)させるものと考えられた。この仮説は二重標識オートラジオグラフィにても証明された。
サイクロフォスファマイド(CPA)は細胞周期の全phaseに作用するので、細胞分裂を営んでいる腫瘍細胞には、BLMにより細胞分裂サイクルに復帰した腫瘍細胞に対しても殺細胞効果を発揮することが期待された。そこでBLMとCPAの併用療法を行った。A群:無処置対照群、B群:BLM 14.8mg/kg 5回i.p.投与、C群:CPA 43.2mg/kg 5回i.p.投与、D群:B群とC群の併用およびE群:D群の半量の薬剤投与とすると各群の平均生存日数(MST)はA:12.2日、B:13.7日、C:10.7日、D:16.8日、およびE:17.2日となり、CPA単独のC群ではMSTはむしろ低下するにも拘らず併用のD群のMSTはBLM単独のB群よりも有意に延長した。
以上の実験結果より抗がん剤によるがん治療はCSCsの制圧だけでは効果は乏しく、CSCsを含めたTotal cell killを目指す必要があると考えられた。これは既存の抗がん剤の併用によっても達成できるのではないかと考えられた。

キーワード

臓器別:その他

手法別:化学療法

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