演題抄録

一般演題(口演)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

がん緩和ケアのオピオイドの新しい展開:オピオイド誘発悪心・嘔吐の予防

演題番号 : O29-5

[筆頭演者]
山田 岳史:1 
[共同演者]
金沢 義一:1、内田 英二:1

1:日本医科大学 消化器外科

 

【背景】近年、早期緩和ケアの重要性が数多く報告されている。緩和ケアには疼痛治療の他に精神的ケアなど多くの要素を含むが、疼痛は多くの患者にとって最もつらい症状のひとつであり、また化学療法を行なっている比較的早期から認めることも多い。疼痛コントロールを十分に行うために早期のオピオイド導入が必要と考えられる症例もあるが、オピオイド誘発悪心・嘔吐(opioid-induced nausea and vomiting: OINV)が一定の頻度でみられるため、主治医も患者も早期導入に躊躇することがある。OINVは2003年にMcNicolらがreviewし、OINVの発症頻度は10-40%と低頻度であるため、制吐剤の予防的投与は必要ないと報告し、我が国の『がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン』においても予防投与の有用性を示すエビデンスはなく、推奨されないと記されている。しかし、緩和ケアにおいて10-40%の悪心の頻度は決して低いとは言えない。この状況を改善するためにはOINVの頻度をまず調査し、次にどの程度の規模で臨床試験を行えば予防薬の効果が検証できるかを考慮し、予防薬の有用性を示すエビデンスを作るための臨床試験を行う必要がある。我々はprochlorperazine併用時のoxycodone初回導入時の悪心・嘔吐の頻度を推定するために前向きに観察試験を行った。【方法】2007年8月より2011年7月までで、担癌入院患者であり、オピオイドの投与歴がなく、中等度以上の癌性疼痛に対しoxycodone 10mg/dayおよびprochlorperazine 10mg/dayを投与し、クリニカルパスで管理された症例を対象とした。Prochlorperazine以外の制吐剤を投与した症例、統合失調症あるいは認知症、麻痺性イレウス、著明な肝腎機能障害、oxycodone投与開始から3日以内に死亡した症例を除外した。投与初日から5日間悪心・嘔吐を含む諸症状を1日2回調査した。【結果】163例が適応基準を満たし、25例が除外され、138例が対象となった。悪心は18.1%、嘔吐は5.8%に認めた。悪心、嘔吐発症率に男女差はなく、消化器癌と非消化器群の間で差を認めなかった。【考察】新たなOINV予防法を開発するためには、新規治療により発症率が10%低下すると考えた場合、検出力80%、両側有意水準0.05%とすると330例が必要となる。他施設共同研究による予防法開発が期待される。

キーワード

臓器別:大腸・小腸

手法別:緩和医療

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