演題抄録

一般演題(口演)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

PD-1/PD-L1シグナルを標的とした卵巣癌に対する免疫化学療法の基礎的検討

演題番号 : O26-6

[筆頭演者]
濱西 潤三:1 
[共同演者]
Peng Jin:1、安彦 郁:1、松村 謙臣:1、馬場 長:1、山口 建:1、小西 郁生:1、万代 昌紀:2

1:京都大学 、2:近畿大学

 

進行、再発卵巣癌に対しては、手術療法と化学療法を組み合わせた集学的治療が行われているが再発率が高く、未だ予後不良であるため、新たな治療戦略が求められている。近年、がん免疫逃避機構とその機構を標的とする治療法の開発が進んでおり、その代表として免疫抑制性補助シグナルPD-1(Programmed cell Death-1)/PD-L1(PD-1 Ligand 1)経路が注目されている。  これまでに当科では、卵巣癌におけるがん免疫逃避機構について検討し、摘出腫瘍や癌性腹水検体を用いて、卵巣癌細胞のPD-L1発現が腹膜播種の促進等を介して予後不良に寄与しているという知見を得ている。このような背景から当科ではPD-1/PD-L1経路を標的とした抗PD-1抗体を用いた卵巣癌に対する新規免疫療法を臨床第2相試験として行っている。 一方、進行卵巣癌に対する抗癌剤治療による免疫学的観点から評価をした報告は少ない。そこで進行卵巣癌に用いられるPacritaxel (PTX)、Carboplatine(CBDCA)、Gemcitabine(GEM)を用いて、抗癌剤による卵巣癌細胞への免疫学的変化を検討した。各抗癌剤を添加し培養したヒト卵巣癌細胞株のRNA発現マイクロアレイデーターを用いて、添加後に発現が上昇する免疫関連遺伝子を抽出した。そのなかにMHC、NF-kBシグナル関連遺伝子やPD-L1等が含まれており、特にNF-kBとPD-L1発現が正の相関を認めた。 次にヒトおよびマウスの卵巣癌細胞株に、PTX、CBDCA、GEMをそれぞれ添加しフローサイトメトリー、qRT-PCRおよびELISA法にてPD-L1タンパク発現を確認した。さらにsiRNAによりNF-kBを抑制した細胞株をそれぞれ作成し同様の添加を行ったが、いずれも有意な発現上昇は認めず、抗癌剤投与によってNF-kBを介したPD-L1発現が誘導されることがわかった。 次にPD-L1強制発現およびPD-L1発現抑制したマウス卵巣癌細胞株を作成し、それぞれの細胞株を腹腔内投与した卵巣癌の腹膜播種モデルを用いて生存解析を行った結果、PD-L1発現抑制株では有意に生存期間が延長した。さらに同モデルにPTX腹腔内投与を併用した場合、PD-L1抑制株を腹腔内投与した後でPTXを投与したマウスは有意に、PTX単独投与およびPD-L1抑制株投与のみに比して有意に生存期間が延長した。 以上から、抗癌剤治療により腫瘍のPD-L1発現が誘導されるが、抗癌剤治療とPD-L1/PD-1経路の阻害を同時に行うChemo-Immunotherapyは、卵巣癌治療の新規治療戦略として有望である可能性が示唆された。

キーワード

臓器別:卵巣

手法別:腫瘍免疫

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