一般演題(口演)
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標準治療が行われた上皮性卵巣癌の再発パターンの解析 演題番号 : O26-3
1:慶應義塾大学産婦人科学教室
【目的】再発卵巣癌の治療戦略を考える際、再発を的確に診断することも重要な治療戦略となる。そこで本研究では、当院における上皮性卵巣癌の治療成績をもとに、初回治療後の再発率、再発パターンにつき検討を行った。【方法】1997~2007年に当院において初回治療を行い、5年以上経過観察を行った上皮性卵巣癌257例を対象とした(観察期間中央値:71ヶ月)。対象症例は、初回手術療法の後、術後化学療法の適応がない症例を除き、初回化学療法としてタキサン製剤/プラチナ製剤併用療法を施行しclinical CRを得られた症例に限定した(初回手術におけるoptimal症例の割合:85.6%)。これらの症例を対象に、再発率、再発時期の分布、再発部位、再発時CA125値、再発症例の予後につき解析を行った。【成績】5年累積再発率は全体で36.1%であり、進行期別ではI期が11.5%、II期が22.2%、III期が64.0%、IV期が82.6%であり、II期以上で60.2%であった。組織型別にみた5年累積再発率では、漿液性腺癌が59.9%、その他の組織型が25.9%であり、漿液性腺癌において有意に再発率が高かった(p<0.01)。再発症例93例のうち25%が初回治療後1年以内、71%が2年以内、97%が5年以内に再発を認めた。再発確認部位は全体の31%が腹腔内、24%が骨盤内、18%がリンパ節、10%が肝、10%が肺・胸腔であり、再発時CA125値がcut off値(35IU/ml)を超える症例は再発例全体の59%であった。再発症例の5年生存率は、再発部位別には有意差を認めなかったものの、再発時CA125値がcut off値を超える症例はcut off値以下の症例に比較し有意に予後不良であった(p<0.05)。【結論】再発病巣の的確な診断とその後の治療のためには、治療後経過期間、臨床病理学的因子等の再発リスク因子を考慮する必要がある。特に初回治療後2年以内の再発頻度が高く、骨盤腔・腹腔内を中心とした定期的な検索が重要である。
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