一般演題(口演)
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TACE不応・不能肝細胞癌に対する治療戦略:肝動注とソラフェニブの選択について 演題番号 : O16-3
1:奈良県立医科大学 放射線科、2:奈良県立三室病院 放射線科
目的: TACE不応・不能と判断された進行肝細胞癌に対する肝動注化学療法およびソラフェニブの抗腫瘍効果と予後を比較検討した。対象と方法: 2009年5月〜2012年12月の間にTACE不応または不能と判断された進行肝細胞癌131例中、治療導入時の肝機能がChild-Pugh Aかつ肝外転移のない21例(男17、女4;平均年齢67.1歳)を対象とした。肝動注化学療法を選択した11例(IA群)とソラフェニブを選択した10例(Sor群)に分類し、奏効率と生存期間について比較検討した。肝動注レジメンはLFP 10例、FAIT 1例であり、ソラフェニブ投与量は原則として800 mg/dayとし副作用に応じて随時減量した。結果:奏効率は、IA群が36.3% (PR 4, SD 5, PD 2)、Sor群が0% (PR 0, SD 7, PD 3)であった(p=0.034)。後治療としてIA群のうち5例(45%)がソラフェニブに移行し、Sor群のうち4例(40%) が肝動注に移行した。生存期間の中央値は、IA群が12.2カ月、Sor群では9.0カ月であった(p=0.684)。Sor群においてソラフェニブPD後に肝機能が維持され肝外転移の出現がなかった9例中、肝動注へ移行した4例の肝動注の奏効率は50%、平均生存期間は21.3カ月であった。一方、PD後もソラフェニブを継続または中止無治療とした5例の平均生存期間は7.0カ月であった。結語: TACE不応・不能となった進行肝細胞癌に対する治療戦略は、肝動注化学療法がソラフェニブと比して奏効率が有意に高いため優先して選択すべき治療であると考えられる。また、ソラフェニブを先行した場合においてもソラフェニブ不応後すぐに肝動注へ移行することで奏効が得られる症例もあることが示唆された
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