演題抄録

一般演題(口演)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

GSK-3βを標的とする骨肉腫への新規治療法の可能性

演題番号 : O128-1

[筆頭演者]
下崎 真吾:1 
[共同演者]
山本 憲男:1、西田 英司:1、木村 浩明:1、武内 章彦:1、五十嵐 健太郎:1、加藤 貴士:1、青木 裕:1、源 利成:2、土屋 弘行:1

1:金沢大学整形外科、2:金沢大学がん研究所腫瘍制御

 

【背景】抗がん剤治療導入により骨肉腫の5年生存率は飛躍的に向上したが、強い副作用や抗がん剤耐性腫瘍など治療を継続できない症例は少なくない。他のがん種では、種々の分子標的治療薬が基礎研究を経て臨床応用されているが、骨軟部腫瘍領域の分子標的治療薬開発はそれらのがん種と比べて遅れをとっている。そこで我々は、他のがん種において臨床試験が開始されているGSK-3βを標的とするがん治療法の骨肉腫細胞に対する効果を検討した。
【目的】In vitroで、ヒト骨肉腫細胞に対するGSK-3β阻害剤の抗腫瘍効果を検討すること。
【方法】解析に使用する骨肉腫細胞株はHOS、143B、MG-63、Saos-2で、GSK-3β阻害剤はAR-A014418、SB-216763を使用した。腫瘍細胞の生存と増殖の抑制効果をWST-8 assayとBrdU ELISA法にて調査し、阻害薬の50%増殖阻止濃度(IC50)を検討した。WST-8 assayでは、各々のGSK-3β阻害剤の薬理学的濃度(5、10、25、50μM)とその作用時間(0、24、48、72、96時間)を設定した。BrdU ELISA法は25μM のAR-A01441を骨肉腫細胞株に作用させ、72時間後の増殖期細胞分画を対象(DMSO)群と比較した。アポトーシスは、GSK-3β阻害剤25μMを投与してから72時間後にDNAを抽出し、アガロース電気泳動のDNAラダー状断片化にて評価した。
【結果】WST-8 assayにより解析した全ての骨肉腫細胞株で、GSK-3β阻害剤を作用させて48時間後から時間と濃度依存的に細胞生存抑制効果を認め、BrdU ELISA法でも有意な細胞増殖抑制効果を確認した。各細胞にAR-A014418とSB-216763投与96時間後のIC50(単位はμM)は、HOS (14.9、19.4)、143B (16.8、19.5)、MG-63 (19.2、19.2)、Saos-2 (26.5、46.1)であった。阻害剤のなかでもAR-A014418は細胞生存や増殖の抑制効果が強く、再現性の高い結果が得られた。アガロース電気泳動では、阻害剤投与後72時間のDNAラダー状断片化により、アポトーシス誘導を確認した。
【考察・結語】4種の骨肉腫細胞株を用い、in vitroで2種類のGSK-3β阻害剤を投与し、骨肉腫細胞の生存・増殖抑制とアポトーシス誘導を確認した。現在、使用している骨肉腫細胞株の活性型GSK-3βの異常発現や、骨肉腫細胞の増殖がGSK-3βの働くWnt/β-catenin経路に関与しているかを検討している。また、siRNAを用いたRNA干渉試験などにより、GSK-3β阻害効果が特異的であるかを検討している。

キーワード

臓器別:骨軟部

手法別:分子標的治療

前へ戻る