演題抄録

一般演題(口演)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

膀胱頸部腫瘍は,筋層非浸潤性膀胱癌の進展の予測因子である

演題番号 : O124-6

[筆頭演者]
藤井 靖久:1 
[共同演者]
小林 秀一郎:1、古賀 文隆:1、横山 みなと:1、吉田 宗一郎:1、石岡 淳一郎:1、松岡 陽:1、沼尾 昇:1、齋藤 一隆:1、増田 均:1、木原 和徳:1

1:東京医科歯科大院 腎泌尿器外科

 

【目的】筋層非浸潤性膀胱癌(NMIBC)は,再発率は高いものの,一般に生命予後は良好である.しかし約15%の症例は,筋層浸潤癌に進展し,その予後は不良である.したがって,進展を予測することは,NMIBCの治療戦略上重要である.NMIBCの再発,進展を予測するモデルとして,EORTCモデルが知られているが,その問題点として,スコア化が煩雑であること,他人種を含めた実臨床の症例での外部検証が十分でないことがある.私たちは,過去に,後ろ向きコホートを用いて,膀胱頸部腫瘍は,腫瘍のT因子(pT1)と異型度(Grade 3)と共に,NMIBCの新規症例において,進展の独立した予測因子であることを報告した(Fujii Y, et al. Eur Urol 1998).今回,前向きコホートを用いて,膀胱頸部腫瘍がNMIBCの進展の予測因子であることを検証し,さらに膀胱頸部腫瘍を組み込んだ進展の予測モデルを作成した.【方法】膀胱癌の診断で経尿道的膀胱腫瘍切除(TURBT)を施行し,病理検査でNMIBC (pTaまたはpT1)の尿路上皮癌と診断された,新規の297例が対象である.臨床病理因子に関するデータ(腫瘍の位置を含む)は,TURBT施行直後に前向きコホートに登録した.進展までの期間は,TURBT施行日から,筋層浸潤癌または転移が診断された日と定義した.多変量解析にて,進展に関する独立した予測因子を同定し,これらの因子を用いて進展の予測モデルを作成した.モデルの予測能はHarrellの c-indexにて検証した.【結果】中央値37ヶ月の観察期間で,16例(5.4%)が進展し,全体の1年および5年進展率は,1.5%および8.0%であった.多変量解析にて,腫瘍のGrade 3 (HR 9.45, P = 0.0004),pT1 stage (HR 6.91, P = 0.0014)と共に,膀胱頸部腫瘍 (HR 11.75, P = 0.0009)が進展の独立した予測因子であった.これら3因子のregression coefficientは近似しており,をそれぞれ1ポイントとしてスコア化し,各症例を3群(スコア0, 1, 2-3)に分類すると,各群の進展率は明確に区別された(P < 0.0001).このモデル(スコア 0-3)のc-indexは0.80であり,膀胱頸部腫瘍を含めない2因子でのモデル(スコア 0-2)では0.74であった. 【結論】前向きコホートにより,膀胱頸部腫瘍が,NMIBCの新規症例の進展予測因子であることが検証された.膀胱頸部腫瘍を組み込んだ進展の予測モデルは,簡便かつ予測能に優れており,個々のNMIBCの治療戦略を計画する上での臨床的有用性が高いと考える.

キーワード

臓器別:腎・尿路・膀胱

手法別:診断

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