演題抄録

一般演題(口演)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

DNAマイクロアレイを用いた網羅的遺伝子発現解析による淡明細胞型腎細胞癌の予後分類

演題番号 : O124-3

[筆頭演者]
柳田 知彦:1 
[共同演者]
石橋 啓:1、赤井畑 秀則:1、熊谷 研:1、羽賀 宣博:1、櫛田 信博:1、相川 健:1、小島 祥敬:1

1:福島県立医科大学 泌尿器科

 

<背景と目的>DNAマイクロアレイによる網羅的遺伝子発現解析では,癌の臨床病理情報とは異なる有益な知見を得る事ができる.一般的にDNA マイクロアレイでは,in vitro transcriptionにより増幅したRNAを対象とすることが多い.一方,RNA増幅を行わない我々のマイクロアレイシステムでは,amplification biasが少ないために本来の発現強度に近い情報が得られることから,様々なマーカー遺伝子の探索に適していると考えられる.今回我々は,独自開発DNAマイクロアレイシステムを用いて,淡明細胞型腎細胞癌(ccRCC)の予後関連遺伝子セットを探索した.<対象と方法>2008年から2013年に当科および関連病院での手術により得られたccRCC 52サンプルと正常腎組織 32サンプルを対象とした(ccRCCのステージ1/2/3/4:29/4/7/12).採取した組織は速やかに液体窒素で冷却後にpoly (A)+RNAを抽出し,増幅行程を行わずに31,797 transcriptsを対象としたDNAマイクロアレイ解析を行った.発現情報のクラスター解析はユークリッド平方距離を用いた群平均法で行い,生存率解析にはKaplan-Meier法によるlog-rank検定を,多変量解析にはcox比例ハザードモデルを用いた.<結果>全発現情報から,サンプル間の発現強度差を指標として3,125 transcrptsを抽出してクラスター解析を行うと,正常腎とccRCCのクラスターに分かれた.さらにccRCCのクラスターは,12および40サンプルからなる2つのクラスターに分類された.条件を厳しくして3,125 transcriptsから456を抽出し,最終的に31 transcriptsまで絞り込んでクラスター解析を行うと,1例増えて13サンプルのCluster A (CA) と,39サンプルのCluster B (CB) に分類された.CAはhigh grade,high stageを多く含み,短期間で癌死した症例が多く,この2群間で癌特異的生存率を比較するとCAが有意に予後不良であった(P<0.001).さらに,この31遺伝子での分類,ステージ,グレードの3項目で多変量解析を行うと,31遺伝子での分類のみ有意差を認め(p=0.008),独立した予後予測因子であった.この遺伝子セットを,従来法のマイクロアレイでの報告にある予後関連遺伝子セットと比較すると,重複がない新規のものであった.<結論>本研究で得られた31遺伝子は新規のccRCC予後関連遺伝子セットで,臨床病理所見とは異なる予後情報が得られる有用なツールと考えられる.

キーワード

臓器別:腎・尿路・膀胱

手法別:遺伝子診断

前へ戻る