演題抄録

一般演題(口演)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

膀胱全摘除術後の深部静脈血栓症に関するD-dimerの有効性

演題番号 : O123-4

[筆頭演者]
寺川 智章:1 
[共同演者]
横山 直己:1、桃園 宏之:1、田中 浩之:1、井上 隆朗:1

1:兵庫県立がんセンター 泌尿器科

 

【目的】静脈血栓症(VTE)は重要な術後合併症である。特に癌に対する手術は深部静脈血栓症(DVT)の大きなリスクとされ、泌尿器科領域では膀胱全摘術後にDVT発症率が高いとの報告が見られるようになった。しかし、現在でも膀胱全摘術術後のDVTに関する詳細な報告はほとんどない。またD-dimerが、DVTの予測因子となる報告が散見されるが、手術後のDVTとの関連、とくに膀胱全摘除術後についての検討は皆無である。そこで我々は膀胱癌術後のDVT発症につき検討し、さらにD-dimerがDVT発症の予測因子となるかについても検討を行った。【対象と方法】対象は、術前D-dimerが正常範囲内であり、浸潤性膀胱癌に対して膀胱全摘除術を施行された33例とした。ガイドラインに沿い、原則として全例に術後24-36時間後から1日2回エノキサパリン2000IUを7日間投与した。D-dimerは術前および術後にDVT発症の予測因子となるか検討するために測定した。Post-operative D-dimer(術後約8日目のD-dimer)およびD-dimer rate(術後約8日目のD-dimer値を術後日数で割った数値)を用いてD-dimerの有効性を検討した。術後7日目にDVT発症の有無を確認するために全例で、下肢超音波検査を施行した。【結果】結果は、33例中8例(24.2%)で無症候性のDVTを認めた。肺塞栓症を含めて重篤な静脈血栓症は1例も認めなかった。Post-operative D-dimerおよびD-dimer rateは、ともにDVTを認めた症例で有意に高値であった。さらにROC解析によりD-dimer rateがDVT発症を予測するのに最も有用であることが示された(AUC;0.81、至適カットオフ値を0.763とした際、陰性的中率は94%であった。)【考察】膀胱全摘除術は予防的にエノキサパリンを使用してもDVTの発症が高いことが示された。また、D-dimer rateが無症候性の時点でのDVT発症を予測するのに有用であることが示された。以上から、根治的膀胱前摘除術後は定期的にD-dimerを測定することが推奨される。

キーワード

臓器別:腎・尿路・膀胱

手法別:その他

前へ戻る