演題抄録

一般演題(口演)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

標本整理者は大腸癌のリンパ節郭清個数に影響を与えるのか?

演題番号 : O120-2

[筆頭演者]
松井 信平:1 
[共同演者]
岡林 剛史:1、長谷川 博俊:1、石井 良幸:1、鶴田 雅士:1、菊池 弘人:1、石田 隆:1、清島 亮:1、高橋 秀奈:1、山田 暢:1、北川 雄光:1

1:慶應義塾大 医学部 外科学教室 一般・消化器外科

 

[背景]本邦では、大腸癌切除標本の整理において、ホルマリン固定前に腸間膜内のリンパ節を摘出し、病理学的にリンパ節転移の有無を確認するのが一般的である。しかし、脂肪内に埋もれているリンパ節を識別し、摘出するのは標本整理者の技量に委ねられ、標本整理者ごとにリンパ節郭清個数が異なる可能性がある。リンパ節郭清個数は、術後補助化学療法の適応に関わる重要な情報であり、標本整理の質が治療方針の決定や予後に何らかの影響を与える可能性は否定できない。今回我々は、標本整理者によるリンパ節郭清個数の違いと、その長期予後に与える影響について明らかにすることを目的とした。[方法]2004年から2012年の間に、当院で大腸癌切除術を施行した患者のうち、原発巣に対してD3郭清手術を施行した671例(重複癌除く)のうち、標本整理者が当院で5例以上の標本整理を経験していた613例を対象とした。主要評価項目はリンパ節郭清個数とし、副次解析項目は長期予後(無再発生存率、全生存率)とした。変量効果線形回帰モデルおよびFunnel Plotを用いて、後方視的に解析を行った。 [結果]この期間に当院で標本整理にあたっていた人数は30人であり、平均リンパ節個数は27.7個(SD:15.9)であった。変量効果線形回帰モデルで、腫瘍位置、進達度、切除腸管長が郭清リンパ節個数に影響を与えることが判明した(coefficient/p: 2.43/<0.01, 3.59/0.02, 0.06/<0.01)。それらの因子を調節したfunnel plotにて、30人のうち5人(16%)のリンパ節郭清個数が95percent tileを下回ることが明らかになった。その5人をL群、残りの25人をN群としたところ、郭清リンパ節個数が12個未満になる確率はL群:16.9%、N群:7.3%で有意差を認めた(p<0.01)。5年無再発生存率はL群76.3%、N群76.0%(p=0.61)、5年生存率はL群85.6%、N群85.9%(p=0.95)であり、いずれも有意差は認めなかった。 [結語]大腸癌におけるリンパ節郭清個数は標本整理者によって優位差があることが明らかになった。しかしながら、その差は再発率や生存率といった長期的予後に影響していなかった。

キーワード

臓器別:大腸・小腸

手法別:手術療法

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