演題抄録

一般演題(口演)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

乳房温存療法における断端評価と予後ー当院3200例を用いた検討ー

演題番号 : O119-2

[筆頭演者]
向橋 知江:1 
[共同演者]
大渕 徹:1、山上 良:1、杉尾 芳紀:1、緒方 晴樹:1、雨宮 厚:1

1:大船中央病院 乳腺・総合外科

 

<諸言>乳房温存療法の断端評価は施設間で異なり,NCCNガイドラインを参照してもその定義は明確ではない.ザンクトガレン会議2013においては7割のエキスパートが露出がなければ断端陰性とみなしているが,露出内容や程度に関しての詳細な定義はない.<目的と方法>1983~2012年に当院で温存術を施行した症例のうち,術後40Gy以上の放射線照射を施行し,観察期間が1年以上の浸潤癌3237例を対象とした.断端組織及び露出径,ブースト照射についての予後への影響を後ろ向きに検討した.<結果>初診時年齢中央値は49歳(22-93歳)であった.まず断端組織について検討した.断端結果を露出なし(断端(-)群),非浸潤病変の断端露出あり(非浸潤(+)群),浸潤病変の断端露出あり(浸潤(+)群)の3群に分類し検討を行った.3群の生存率(OS)を比較した結果,5年生存率はそれぞれ94.3%,93.0%,82.8%,10年生存率は87.3%,87.9%,70.6%であり,浸潤(+)群のみOSが有意に低く,断端(-)群及び非浸潤(+)群ではほぼ同等であった(P<0.001,HR=1.55).また,3群の乳房内再発率(IBR)を比較した.その結果,5年IBRは2.7%,7.6%,14.0%,10年IBRは7.1%,18.3%,24.9%と有意差を認めた(P<0.001,HR=2.19).次に断端露出径について検討した.断端結果を露出なし,露出が5mm未満,露出が5mm以上の3群に分類しOSを比較した.その結果,5年OSは94.2%,91.8%,89.6%,10年OSが87.3%,86.8%,83.9%とわずかに差を認めた(P=0.03).また,同様に3群のIBRを比較した結果,5年IBRが2.7%,4.7%,11.1%,10年IBRが7.1%,13.7%,23.5%と有意差を認めた(P<0.001).さらにBoost照射について検討した.断端(-)群,断端(+)かつブースト照射(+)群,断端(+)かつブースト照射(-)群の3群間でIBRを比較した結果,5年IBRはそれぞれ2.7%,3.4%,10.6%であり,断端(+)かつブースト照射(-)群の場合に再発率が有意に高く,断端(-)群と断端(+)かつブースト照射(+)群ではほぼ同等であった(P<0.001,HR=1.82)。<結論>断端露出の場合,断端病変の内容を問わず乳房内再発率の上昇がみられたが、浸潤病変の場合に有意に高かった.また,他の因子の影響があるものの,浸潤病変の露出の場合のみOSに影響を与える可能性が示唆された.また,露出径が増大するほど乳房内再発率は高くなり,わずかではあるがOSにも影響を与える可能性が示唆された.ブースト照射については,断端(+)時に追加することで断端(-)群と同程度の乳房内再発率が得られ,有用性が示唆された。

キーワード

臓器別:乳腺

手法別:手術療法

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