演題抄録

一般演題(口演)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

HER2陽性転移性乳癌患者を対象としたトラスツズマブ エムタンシンの安全性の検討

演題番号 : O118-6

[筆頭演者]
土井原 博義:1 
[共同演者]
柏葉 匡寛:2、高尾 信太郎:3、伊藤 良則:4、雷 哲明:5、松原 麻理:6、金谷 和充:6、増田 慎三:7

1:岡山大 乳腺・内分泌外科、2:岩手医大 外科、3:兵庫県立がんセ 乳腺外科、4:公益財団法人 がん研究会有明病 乳腺内科、5:社会医療法人博愛会 相良病 乳腺外科、6:中外製薬株式会社、7:国立病院機構 大阪医療セ 乳腺外科

 

背景:トラスツズマブ エムタンシン(T-DM1)は,チューブリン重合阻害作用を有するDM1をHER2陽性細胞へ特異的に送達する抗体薬物複合体(ADC)であり,トラスツズマブと同様に, HER2の細胞増殖シグナル阻害活性やHER2 sheddingの抑制作用,抗体依存性細胞障害作用(ADCC)を有することが示されている。また,タキサン系薬剤及びトラスツズマブ既治療のHER2陽性転移性乳癌を対象とした海外第III相臨床試験(EMILIA試験)において,T-DM1は主要評価項目である無増悪生存期間および全生存期間を有意に延長した(Verma, NEJM 2012)。本邦では日本人患者におけるT-DM1の有効性,安全性を評価するため第II相臨床試験を実施した。その結果より安全性に関する検討をおこなった。方法:JO22997試験は,HER2陽性の転移性乳癌に対する治療歴を有する日本人患者を対象として,T-DM1 3.6 mg/kg を3週間間隔で投与する第II相臨床試験である。有害事象の判定にはNCI-CTCAE ver. 4.0を用い,治験担当医師の判断によりT-DM1との因果関係を判定した。結果:本試験に登録された76例の内,73例が安全性評価対象集団として取り扱われた。全Grade の血小板減少症は27.4%,肝毒性(肝酵素上昇)は34.2%の被験者に認められた。これらの内,Grade 3以上の有害事象の多くは,T-DM1の初回又は2回目の投与後に発現した。また,投与中止に至った症例は5例(6.8%)であった。心機能障害(LVEF低下)は1例(1.4%)に認められた。末梢性ニューロパチーは16.4%に認められたが,そのほとんどはGrade 1又は2であった。脱毛は有害事象として報告されなかった。65歳未満(59例)と65歳以上(14例)の患者集団におけるGrade3以上の有害事象の発現率に差異は認められなかった。結論:T-DM1は,治療歴を有するHER2陽性転移性乳癌の日本人患者において,Grade 3以上の有害事象の発現率は海外臨床試験よりも高かったが,忍容性は良好であると考えられた。Grade 3以上の血小板減少症および肝毒性は,治療初期の段階で最も多く認められた。また,65歳未満と 65歳以上の患者集団の安全性プロファイルに差異は認められなかった。

キーワード

臓器別:乳腺

手法別:臨床試験

前へ戻る