演題抄録

一般演題(口演)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

新規メタアナリシス手法を用いた多様な抗HER2分子標的薬における最適レジメンの検討

演題番号 : O118-5

[筆頭演者]
林田 哲:1 
[共同演者]
永山 愛子:1、高橋 麻衣子:1、神野 浩光:1、岡林 剛史:1、北川 雄光:1

1:慶應義塾大学医学部 一般・消化器外科

 

[背景] HER2陽性乳癌に対する術前・術後補助化学療法は,trastuzumab (T-mab; T)を含むレジメンが現在主流である.しかし,術前化学療法を対象とした複数の大規模臨床試験の結果から,pertuzumab (P-mab; P)もしくはlapatinib(L)をT-mabに加えた,いわゆるdual targeting therapyにより,良好なpCR率が得られることが示された.さらに,T-DM1等の複数の新薬が進行再発乳癌に対して良好な成績をおさめるに至り,近い将来に術前・術後補助化学療法のレジメン選択において,抗HER2薬の「どの組み合わせが最良か?」という大きな問題に直面すると予想される.Bayesian network meta-analysisは,異なる複数の臨床試験[A vs B]および[B vs C]の結果から,間接比較である[A vs C]の優劣を統計学的に統合解析する手法である.本手法を用いて,HER2陽性乳癌に対する術前治療の前向きランダム化比較試験を対象とし,各治療アームの有用性・安全性の比較検討を行った.[方法]  定義されたmesh termにより検索された1048の報告のうち,適格基準に合致した10種類の臨床試験を対象として解析した.これら臨床試験に含まれる,化学療法(CT)・T-mab・Lapatinib・P-mabおよびその併用を含む7種類のレジメンを直接および間接比較の検討を行った.評価項目は,pCR率・治療完遂率・Grade3以上の有害事象(下痢,好中球減少),Grade2以下の心毒性とした.pCRは乳房およびリンパ節での浸潤巣の消失と定義した.[結果と考察] Dual targeting therapyは他のレジメンと比較し良好なpCR率を認めたが(CT+T+P vs CT+T, OR; 2.29, [1.02-5.02], p=0.02; CT+T+L vs CT+T OR; 2.08, [1.18-3.56] ),これら両レジメン間には有意差は認めず(CT+T+P vs CT+T+L, OR; 1.11, [0.42-2.86]),完遂率・有害事象に関してはP-mabを含むレジメンで良好な傾向であった.また,Grade2以下の心毒性はレジメン間での有意差は認められなかった.Surface under the cumulative ranking probability curveを用いた各レジメンにおける順位付けでは,同様にCT+T+Pが最も優れていたが,現在の標準治療であるCT+TはpCR率・完遂率・有害事象発現のバランスに優れ,増加する一方の医療コストも同時に考慮すれば,新薬が使用可能となった後も非常に有用なレジメンであり続けることが示唆された.今後日本でもP-mabおよびT-DM1が使用可能になると予想されるが,本研究の結果をもとに,有用な臨床試験を実施することが可能となると考えられた.

キーワード

臓器別:乳腺

手法別:分子標的治療

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