演題抄録

一般演題(口演)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

頭頸部扁平上皮癌細胞におけるFlt-4の発現とVEGF-C autocrine mechanismに関する検討

演題番号 : O110-6

[筆頭演者]
重冨 征爾:1,6 
[共同演者]
今西 順久:1、大塚 邦憲:2、坂本 耕二:3、藤井 良一:4、羽生 昇:5、小川 郁:1

1:慶應義塾大耳鼻咽喉科 、2:済生会横浜市東部病耳鼻咽喉科、3:済生会宇都宮病耳鼻咽喉科、4:済生会横浜市南部病耳鼻咽喉科 、5:共済立川病耳鼻咽喉科 、6:川崎市立川崎病耳鼻咽喉科

 

【背景と目的】腫瘍微小環境において癌細胞由来のリンパ管新生因子VEGF-Cはリンパ管内皮細胞に発現する受容体Flt-4(VEGFR-3)を活性化するparacrine mechanismを介してリンパ管新生を誘導し、リンパ節転移を促進していると考えられている。一方,近年Flt-4がリンパ管内皮細胞のみならず一部の癌細胞自身にも発現し、癌細胞由来のVEGF-Cが癌細胞自身のFlt-4に作用するautocrine mechanismを有する可能性、さらにそのeffector分子としてVEGF-C自身の発現をup-regulateするautocrine loopの存在の可能性が示唆されている。そこで我々は頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)細胞自身におけるFlt-4の発現とVEGF-C autocrine mechanism、およびその臨床的意義について検討した。【方法と結果】HNSCC細胞株におけるFlt-4の発現をreal-time PCRでスクリーニングした結果、種々のレベルで細胞選択的な発現を認め、さらにSASと HO1U1においてその発現をRT-PCRおよび免疫蛍光細胞化学にて確認した。これらのFlt-4発現細胞に対し、recombinant VEGF-CおよびFlt-4選択的VEGF-C変異体によるFlt-4 activation、抗Flt-4中和抗体およびFlt-4選択的阻害剤によるFlt-4 inhibitionを行い、effector分子の発現変化をreal-time PCRで評価した。SAS、HO1U1のいずれにおいても神経細胞接着分子Contactin-1(CNTN-1)はFlt-4 activationにより発現が亢進し、inhibitionにより発現が抑制された。VEGF-C自身はSASにおいてのみFlt-4 activationによる発現亢進とinhibitionによる発現抑制が認められた。SASを用いたproliferation assay及びmigration assayを行った結果、前述のFlt-4 activation/inhibitionにより細胞増殖能、遊走能ともに亢進/抑制が認められた。当施設で加療した舌扁平上皮癌臨床検体55例における癌細胞自身のFlt-4、VEGF-C、CNTN-1の発現を免疫組織化学的に評価し、臨床病理学的因子との相関を検討した結果、単変量解析においてFlt-4、CNTN-1、VEGF-C各々の発現はいずれも頸部リンパ節転移との間に有意な相関を認めた。多変量解析の結果、Flt-4陽性は頸部リンパ節転移に独立して有意に相関する因子の一つであった。【考察】HNSCCにおいてもVEGF-Cにはparacrine mechanismのみならず,癌細胞自身に発現するFlt-4を介したautocrine mechanismが存在し,CNTN-1およびVEGF-C自身の発現をup-regulateするautocrine loopも利用してリンパ節転移を誘導している可能性が示唆された。

キーワード

臓器別:頭頸部

手法別:基礎腫瘍学

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