演題抄録

一般演題(口演)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

頭頸部扁平上皮癌における癌幹細胞様細胞マーカーの発現とその臨床的意義に関する検討

演題番号 : O110-5

[筆頭演者]
羽生 昇:1,2,4 
[共同演者]
今西 順久:2、坂本 耕二:5、重冨 征爾:2,7、大塚 邦憲:6、佐藤 陽一郎:2、渡部 佳宏:2、小川 郁:2、徳丸 裕:3、藤井 正人:4

1:国家公務員共済組合連合会立川病院 耳鼻咽喉科、2:慶應義塾大学医学部耳鼻咽喉学教室、3:独立行政法人国立病院機構医療センター 耳鼻咽喉科、4:独立行政法人国立病院機構医療センター 臨床研究センター、5:済生会宇都宮病院、6:済生会横浜市東部病院、7:川崎市立川崎病院

 

【背景と目的】近年頭頸部癌に於いてもside population(SP)細胞の同定とその癌幹細胞としての可能性が報告されているが、その役割は十分に解明されていない。そこで1)舌扁平上皮癌細胞株のSP細胞における癌幹細胞関連遺伝子の発現とその細胞動態への影響、2)臨床腫瘍検体における同関連遺伝子の発現とその臨床的意義を検討した。【方法と結果】1) DNA結合色素Hoechst33342を用いた色素排泄法により舌扁平上皮癌細胞株SAS, HSC4, SCC4をflowcytometryにてsortingした結果,SP分画はSASにて0.9%、HSC4にて0.7%、SCC4にて10.2%、各々認められた。SAS, SCC4のSP細胞とnon SP細胞の間で癌幹細胞関連遺伝子の発現をRT-PCRにて比較した結果、いずれにおいても転写因子Oct3/4、Nanogの発現はSP細胞で顕著に高く、免疫細胞化学染色でも同様の結果が示された。in vitro migration assayおよびinvasion assayの結果、遊走能と浸潤能はSP細胞のほうが高かったのに対し、in vitro proliferation assayの結果、細胞増殖能には明らかな差を認めなかった。2)慶應義塾大学医学部耳鼻咽喉科で初回治療として舌部分切除のみを行ったstage I/II舌扁平上皮癌症例50例の臨床検体の腫瘍細胞核におけるOct3/4とNanogの発現を免疫組織化学染色にて評価し,後発頸部リンパ節転移(delayed neck metastasis: DNM)との相関を検討した。DNMは13例に認められ、Oct3/4の発現(p=0.001)、Nanogの発現(p=0.001)、との間に有意な相関が認められた。臨床病理組織学的因子ではvascular invasion(p=0.009), mode of invasion (3, 4 vs 1, 2) (p=0.036), muscular invasion(p=0.010)が単変量解析にてDNMと有意な相関を示した。Logistic regressionによる多変量解析の結果、DNMに対する独立相関因子はOct3/4発現(risk ratio=14.78, p=0.002)とvascular invasion (risk ratio=12.93, p=0.017)であった。【考察】頭頸部癌幹細胞の指標としてOct3/4とNanogは有用な候補となりうる可能性が示唆された。さらにこれらの指標を発現する癌幹細胞様細胞の存在が、細胞遊走能および浸潤能の亢進を介して、stage I/II舌扁平上皮癌のDNMに寄与している可能性が示唆された。

キーワード

臓器別:頭頸部

手法別:基礎腫瘍学

前へ戻る