演題抄録

一般演題(口演)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

中下部胆管癌における切除断端陽性の影響

演題番号 : O108-5

[筆頭演者]
土屋 勝:1 
[共同演者]
金子 弘真:1、石井 淳:1、前田 徹也:1、久保田 喜久:1、片桐 敏雄:1、田村 晃:1、大塚 由一郎:1、鏡 哲:1、尾作 忠知:1、谷島 聡:1、大嶋 陽幸:1、鷲澤 尚宏:1、後藤 麻佑:1、島田 英昭:1

1:東邦大学医療センター大森病院 消化器外科

 

はじめに:胆管癌の非治癒切除症例の予後は一般的に不良であるため,切除可能な胆管癌の症例では,切除断端を陰性とすることが望まれる.そのため胆管切離端の病理診断は欠かせないものであるが,ステント留置による炎症や胆管粘膜の剥離などが足かせとなり,限られた切片を用いての術中診断は容易ではない.一方,非治癒切除症例の中には比較的長期生存した症例も認められる.目的:今回,特に肝臓側胆管断端(HM)陽性および剝離断端(EM)陽性症例に注目し,切除断端陽性を余儀なくされた胆管癌症例の長期予後と非治癒切除の要因としての断端陽性の意義につき検討した.対象と方法:2003年から2012年まで当科にて切除した中下部胆管癌症例44例を対象とした.男性35例,女性9例,平均年齢67.8歳(49~88歳)で腫瘍の主座が胆管中部にある中部胆管癌は14例,下部にある下部胆管癌は30例であった.膵頭十二指腸切除(PD)を39例に,胆管切除(BDR)を7例に,膵全摘を1例に施行した.胆道癌取扱い規約にもとづき, 肝臓側胆管断端から5mm以内に組織学的に癌浸潤を認めるHM1,HM2をHM(+),認めないHM0をHM(-),またEMについても同様にEM(+)とEM(-)とし,総合的治癒切除(fCurA)と非治癒切除症例(fCurBおよびC)とで術後補助療法の有無と生存率について比較検討した.結果: fCurB/Cは18例で,HM(+)によるものは10例,EM(+)によるものは13例であった.うちHM(+)とEM(+)を併存していた症例は7例であった.fCurB/Cの術式はPDが16例,BDRが2例であった.HM(+)で,在院死1例を除く9例のうち5例に再発を認めた.再発形式は4例に吻合部再発を認めたが,術後に放射線治療をうけた3例はいずれも長期生存を認めた.fCurAの無再発生存期間(DFS)および全生存期間(OS)はfCurB/Cと比べて有意に長かった.HM(+)のDFSは平均26.6ヵ月であり,HM(-)と比べて有意差はなかった.一方,EM(+)はEM(-)にくらべDFS,OSはいずれも有意に短かった.結語:fCurAの予後はFCurB/Cに比べ良好であり切除断端を陰性とする手術が理想である. しかしHM(+)の非治癒切除であってもHM単独では予後規定因子にならず,術後の放射線治療により予後を改善し得る可能性があると思われた.一方,EM(+)の場合,早期に再発を認め長期生存があまり期待できないため,進行胆管癌に対して切除断端,特にHMのみにとらわれず速やかに集学的治療に移行すべきと考えられた.

キーワード

臓器別:胆嚢・胆道

手法別:手術療法

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