演題抄録

一般演題(口演)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

がん専門病院の病理診断報告書の質の調査-前立腺癌について

演題番号 : O100-5

[筆頭演者]
寺本 典弘:1,2 

1:四国がんセ 病理科、2:四国がんセ 臨床研究セ がん予防・疫学研究部

 

【はじめに】がん治療上病理診断報告書の重要性は言うまでもないが、その記載内容や様式が標準化されているとは言い難い。診断の正答率という観点を離れてた病理診断書の質の検討はこれまで単一施設内のself assessmentの範囲でしか日本では行われてこなかった。日本ではminor cancerであったため、前立腺癌の手術症例病理診断報告書の記載は充分ではない疑いがある。がん専門病院の報告書にCAPや規約の要求項目における重要とされる因子が記載されているかどうかを調べることによって、病理診断書の質を検討した。
【方法】全がん協参加施設33施設のうち、参加同意を得られた21施設から20症例ずつ、2003年と2009年の病理診断報告書・切り出し図の提供を受けた。各々について、依頼書のcTNM記載・報告書のpTNMの記載・グリソンスコア(GS)の記載・腫瘍サイズ・RM部位・EPE部位・規約記号(ly, v, pn, n, svなど) ・温存の有無などの記載の有無、マッピングや規約に乗っ取った切り出しがおこなわれているかどうかなどを検討した。今回は2003年例について報告する。
【結果】総症例数は342であった。依頼書のcTNMの記載率は平均で33%であった。pTNM、最大径、GSについて、それぞれ、全体の記載率は38%、61%、95%、全症例で記載されているのは7施設、5施設, 15施設、全く記載されていないのは10施設,1施設,0施設であった。規約記号記載率は全記号で95%、全て記載された症例は全体の88%であった。取扱規約通り全割された症例(TKS)は全体の48%、マッピングされた症例(MS)は82%であった。TKSはRM陰性率、RM陽性部位記載率、EPE陽性部位記載率、最大径記載率がnon-TKSより有意に高く(それぞれp=0.035,0.021, 0.00027,0.040、χ2test)、MSはnon-MSとRM陰性率に差がないが、最大径記載率は高かった(p<0.0001、χ2test)。
【結語】2003年データについて、CAPや規約の要求項目を病理診断報告書の質とするならば、全がん協施設においてもその質に大きな差があった。規約記号やGSの記載はほぼ標準化されているのに対し、依頼紙のcTNM、報告書のpTNMの記載、腫瘍径の記載などは施設間のばらつきが多かった。取扱規約に沿った切り出しは大きな手間を要するが、おこなわれている施設の方が最大腫瘍径やRM陽性部位の記載のみならず、RM陽性率も低かった。2009年のものは現在解析中である。

キーワード

臓器別:前立腺・男性生殖器

手法別:病理

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