演題抄録

一般演題(口演)

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

胃癌症例における血清HER2値の臨床病理学的検討

演題番号 : O1-1

[筆頭演者]
和田 郁雄:1 
[共同演者]
松坂 恵介:2、金子 伸行:2、小野山 温那:1、李 基成:1、奥村 康弘:1、谷島 翔:1、神保 敬一:1、愛甲 丞:1、山形 幸徳:1、山下 裕玄:1、森 和彦:1、清水 伸幸:1、野村 幸世:1、瀬戸 泰之:1

1:東京大 消化管外科、2:東京大 病理部

 

【はじめに】HER2陽性の胃癌に対するTrastuzumab治療に先立って腫瘍でのHER2の発現を組織学的に確認する必要がある。通常は原発巣から採取された標本を用いて判定されるが、胃癌のHER2発現はheterogeneityが高く、また転移巣のHER2発現は原発巣とは異なることも少なくないため、原発巣から転移巣も含めた全体像を把握することは困難と考えられる。今回我々は、血中HER2値が胃癌のHER2発現の指標となる可能性を臨床病理学的に検討した。【対象と方法】2011年4月-2012年6月に当科で胃癌の組織学的HER2判定が施行された症例のうち、血清HER2値を測定された症例を対象とした。生検または切除検体のホルマリン固定パラフィン包埋組織についてHER2タンパクの免疫染色(IHC)及び遺伝子増幅(DISH)を観察、胃癌トラスツズマブ病理部会の指針に基づいて判定した。また、対応する症例の治療前の血清を用いて血中HER2値を化学発光免疫測定法(CLIA)にて測定した。そして、血中HER2値と臨床病理学的事項(年齢、性別、腫瘍径、腫瘍組織型、深達度、リンパ節転移、遠隔転移)や組織学的IHC及びDISHとの関連について検討した。【結果】症例は80症例で、うち男性が50例、65歳以上が44例を占めた。組織型は低分化型36例、深達度はT3-T4a 35例、リンパ節転移はN+32例、遠隔転移はM1 24例、組織学的HER2陽性は36例であった。単変量解析では、いずれの因子も血中HER2値と有意な相関はなかった。乳腺での報告に合わせて血中HER2値のカットオフ値を15.2ng/mlとして2群にわけて生存期間を比較したところ、血中HER2高値群の予後がよい傾向であった。【考察と結語】膜貫通タンパクであるHER2タンパクのextracellular domain(HER2-ECD)は切断され末梢血中に放出されるが、これを化学発光免疫測定法(CLIA)で測定することが可能で、乳癌ではTrastuzumabによる治療効果の予測や評価に用いられる。胃癌においても血中HER2値は既知の予後因子や組織学的HER2評価とは独立した予後因子であると示唆された。

キーワード

臓器別:胃・十二指腸

手法別:病理

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