演題抄録

基調講演

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

最先端がん治療とその展開 ―低侵襲・個別化医療とチーム医療―

演題番号 : KL-9

[筆頭演者]
北島 政樹:1 

1:国際医療福祉大学 学長

 

20世紀における癌医療は診断・治療の標準化に焦点を当て、一定の成果を挙げてきたが、高齢化社会という時代背景の中で、画一的治療の限界も明らかになった。近年、分子生物学やイメージング機器の進歩により、癌の進行度はもとより細胞の生物学特性、悪性度および患者の生体反応が治療の反応性や予後を規定していることなど検証されるようになった。そこで癌治療成績の向上と患者のQOLを求めて個別化癌医療と低侵襲治療が癌医療のkey-wordとなった。個々の患者にとって、最適な治療をより小さな侵襲で根治性を損なわず、「治療の質」の維持をするためには膨大な情報の効率的処理と緻密な科学的根拠を集積および、多岐にわたる治療選択肢の構築が重要となる。これらを実施するためには理論的根拠となる(1)診断学に於いては新規マーカー、抗癌剤感受性試験、Sentinel nodeを含めたin vivo imaging、(2)低侵襲治療開発に於いてはロボット支援手術、三次元CT立体画像などコンピューター支援システムの構築、photo-dynamic therapyなどの新規低侵襲技術開発、(3)今なお存在する制御不能癌の克服の為に新規生物学的治療の展開、すなわち次世代免疫療法、遺伝子治療や分子標的治療の開発が必要となる。このような癌医療を展開する為には集学的治療体系を駆使した橋渡し研究(TR)を戦略的に実施し、臨床に短期間に実用化する事が重要となる。
また並行して、次世代を担う腫瘍専門医や主要研究者を育成する事も重要課題の一つであることは周知の事実である。すなわち腫瘍学全体を俯瞰できる豊富な基礎知識と臨床、研究両面での方向性を踏まえた思考力、想像力を兼ね備えた人材の育成が求められる。その教育の手段として大学などの教育機関に於ける横断的に腫瘍医学を学ぶことの出来る教育カリキュラムの編成や厚生労働省委託事業で日本癌治療学会主導の「がん医療を専門とする医師の学修プログラムeラーニングの活用」および文部科学省「がんプロフェッショナル養成プラン」採択事業による教育への参加など有効といえる。
これらの低侵襲・個別化医療の推進と質の向上には大きな二要件を考慮しなければならない。一つは医師主導の癌医療から看護師、薬剤師など関連専門職種との連携によるチーム医療の構築である。それには学生時代から教育が必要となる。二つ目は本医療推進のためには現在の先進的診断・治療の医療機器の効能から見ても医工・産学連携の重要性は否定し得ない事実である。

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