演題抄録

支援研究成果発表会

開催概要
開催回
第51回・2013年・京都
 

trastuzumab(Tmab)不応のHER2陽性胃癌に対するwPTX+Tmab対wPTXのランダム化第II相試験

演題番号 : GR-2

[筆頭演者]
牧山 明資:1 

1:九州厚生年金病院 血液・腫瘍内科

 

 2011年3月、我が国において、HER2過剰発現が確認された治癒切除不能な進行・再発胃癌に対しTrastuzumab(Tmab)が承認された。この承認に先駆けて、2009年のASCOで報告されたToGA試験において、Tmabを初回化学療法に上乗せすることにより、HER2陽性胃癌・食道胃接合部癌の生存期間を延長することが示されている。この試験結果を受けて、フッ化ピリミジン系薬剤、プラチナ系薬剤とTmab併用治療は、HER2陽性胃癌の標準化学療法として位置付けられている。しかしながら、Tmabを含んだ治療に不応後のHER2陽性胃癌に対する二次化学療法は確立されておらず、安全かつ有効な治療開発が必要である。 乳癌領域では、GBG26/BIG 03-05 試験において、Tmab不応のHER2 陽性乳癌に対し、Tmabを継続使用したcapecitabine+Tmab併用群は、capecitabine 単剤群に比し無増悪生存期間を有意に延長した(8.2 ヶ月 vs 5.6 ヶ月, p=0.034, HR=0.69)。また、EGF104900 試験では、同様の対象において、Tmabを継続使用したlapatinib+Tmab 併用群がlapatinib単独群に比し無増悪生存期間を有意に延長した(12.0 週 vs 8.1 週, p=0.008, HR=0.73)。いずれの試験においても安全性の検討がなされており、GBG26/BIG 03-05 試験では、Tmabの継続による有害事象の有意な増加は認めなかった。また、EGF104900 試験では、Tmab併用群において、心イベント発現率が軽度増加する傾向(症候性イベント2%、無症候性イベント3.4%)にあったが有意ではなく、Tmab継続投与に起因すると考えられる有害事象や発現率の明らかな増加を認めなかった。これらの結果より、HER2 陽性乳癌に対し、Tmab不応後の継続投与(Tmab beyond progression)は、安全かつ有用と考えられ、乳癌診療ガイドラインにおいても推奨されている。 同様に、Tmab不応後の継続投与の有効性は、ToGA 試験においてTmabの有効性が示されたHER2 陽性胃癌・食道胃接合部癌においても大いに期待される。また、現在までに、HER2陽性胃癌に対しTmab継続投与の有効性を検討したランダム化試験は報告されていない。 以上より、一次治療においてフッ化ピリミジン系薬剤、プラチナ系薬剤、Tmabに不応となった進行・再発HER2 陽性胃癌・食道胃接合部癌に対し、二次治療として広く行われているwPTX療法に、Tmabを継続して併用した治療の臨床的有用性を探索的に検討し、またその安全性を明らかにするために本試験を計画するものである。

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