演題抄録

ポスター

開催概要
開催回
第58回・2020年・京都
 

乳癌Dose-dense 化学療法に関連する好中球増多

演題番号 : P-489

[筆頭演者]
阿部 多一:1 
[共同演者]
住谷 達也:1、林 哲哉:1、井口 恵美子:1、清水 大輔:2、猪股 克彦:1

1:横浜市立みなと赤十字病院・薬剤部、2:横浜市立みなと赤十字病院・乳腺外科

 

【目的】乳癌Dose-dense(dd)化学療法(ddEC(エピルビシン+シクロホスファミド)→ddPTX(パクリタキセル))は標準治療である。dd化学療法では治療強度を高めるため顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)が必要であり、実臨床では持続型GCSFであるペグフィルグラスチム(PEG-G)を使用している。PEG-Gの副作用は比較的軽度であるが、ddPTX施行において著明な好中球の増多を経験する。海外においてddPTXにおける好中球増多の報告があるが、一方、本邦におけるddPTXにおける好中球増加の報告は少ない。そこで、ddEC→ddPTXにおける好中球数の推移を調査した。
【方法】2018年7月から2019年10月までにddEC→ddPTXを開始した21例を対象とする。観察項目は薬剤投与量、治療強度、各種血液検査・生化学検査を後向きに診療録を調査する。
【結果】年齢中央値(範囲)50歳(34-65)、ER(-)12例、HER2(-)21例、術前19例、術後2例。治療期間の中央値(範囲)は56日(56-64)、相対用量強度はEC99.2%、パクリタキセル99.1%であり、PEG-Gの使用回数の中央値は7回、PEG-Gの投与タイミングの中央値は化学療法後2.5日目であった。各サイクル開始時の好中球数(中央値)は、PTX Cycle1:11,680/mm3、Cycle2 :17,721/mm3、Cycle3:8,065/mm3、Cycle4 :7,838/mm3であった。また好中球数>20,000/mm3は6例で発現し、その発現はPTX Cycle1:2例、Cycle2:5例、Cycle3:1例であった。
【考察】好中球数がddPTX Cycle2開始時に最も増加したが、ECとPTXによる骨髄抑制とPEG-Gの反応性の違いにより好中球が増多したものと考える。PEG-Gの有害事象は背部痛、好中球増多、アレルギー反応、稀ではあるが脾腫・脾破裂、急性呼吸窮迫症候群等があり、好中球増多に伴う重篤な有害事象には注意が必要である。好中球はPTX Cycle2まで増加するが、ddPTXおけるPEG-Gの必要性は明確でない。PEG-Gの省略は、安全性において問題ないとする報告はあるが、本邦での省略に関する検証はない。よって、好中球増多を危惧して安易にPEG-Gを省略することは避けなければならない。一方、著明な好中球増多にも注意する必要があるため、実臨床では注意深く好中球数の推移を観察し、著明な好中球数増多がある場合はPEG-G投与の中止を検討する必要があると考える。症例数は少ないが28%の症例で好中球数>20,000/mm3を認めており、本邦でのddPTXにおけるPEG-Gの省略の可能性について有効性・安全性における検証が必要と考えられる。

キーワード

臓器別:乳腺

手法別:化学療法

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