演題抄録

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開催概要
開催回
第58回・2020年・京都
 

MCF7乳がん細胞担がんマウスにおける新規GGCT阻害剤の抗腫瘍効果

演題番号 : P-445

[筆頭演者]
飯居 宏美:1 
[共同演者]
吉矢 拓:2、谷口 恵香:3、高木 寛子:1、茂山 千愛美:1、安藤 翔太:1、中田 晋:1

1:京都薬科大学・臨床腫瘍学、2:株式会社ペプチド研究所、3:京都府立医科大学・創薬医学

 

【背景と目的】
乳がん罹患数は増加傾向にあり、既存の薬物療法では克服できない治療抵抗性乳がんに対する新しい治療戦略が求められている。γ-グルタミルシクロトランスフェラーゼ(GGCT)は、グルタチオンの合成・分解系に関与する酵素であり、ヒトの乳がん組織など複数のがんにおいて高発現する蛋白質であることが報告されている。これまでに我々は、乳がん細胞で高発現が見られるGGCTに対する独自の阻害剤(pro-GA)を開発した。本研究では、pro-GAまたは、新しいGGCTの低分子阻害化合物での抗腫瘍効果についてMCF7細胞を乳腺脂肪組織に移植したマウスを用いて検討した。
【結果と考察】
In vitroにおいて、pro-GAはMCF7乳がん細胞やPC3前立腺がん細胞において有意な細胞増殖抑制効果を示した。続いて、5 mg/kgのpro-GAを前立腺がん担がんマウスに週2回投与すると有意に抗腫瘍効果を示したが、乳がん担がんマウスにおいてはさらに高用量の投与を必要とした。そこでさらなる活性の向上をめざし、我々が独自に開発した人工蛍光基質であるLISA-101を用い、LOPAC1280化合物ライブラリーからGGCTを阻害する化合物のスクリーニングを行ったところ、GGCTを阻害する低分子化合物としてU83836Eを見出した。U83836Eは、MCF7細胞、PC3細胞、A549肺がん細胞において有意な細胞増殖抑制効果を示した。さらに、乳がん担がんマウスにおいて25 mg/kgのU83836E化合物を週に2回腹腔投与すると、有意な抗腫瘍効果が見られた。その機構についてin vitroにてpro-GAを用いて検討したところ、CDK阻害分子であるp21およびp16蛋白の発現レベルが増加し、細胞老化の誘導、活性酸素種の増加とミトコンドリア局所のスーパーオキシドの増加が検出された。これらの結果から、GGCT阻害による抗腫瘍効果には、p21およびp16の誘導と細胞周期停止、それに引き続く細胞老化の誘導と、活性酸素種の増大が関与していると考えられた。また、pro-GAまたはU83836Eを乳がん細胞担癌マウスに投与しても顕著な全身性の毒性はなく、抗腫瘍効果が見られたことから、乳がん治療薬としてGGCT阻害剤が有用であることが示唆された。

キーワード

臓器別:乳腺

手法別:トランスレーショナルリサーチ

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