演題抄録

ポスター

開催概要
開催回
第58回・2020年・京都
 

巨大脾腫を伴う骨髄線維症患者に脾照射併用同種造血幹細胞移植を施行した2症例

演題番号 : P-395

[筆頭演者]
佐野 史典:1 
[共同演者]
永坂 岳司:1、和田 秀穂:2、山口 佳之:1

1:川崎医科大学附属病院・臨床腫瘍科、2:川崎医科大学附属病院・血液内科

 

骨髄線維症は,骨髄の広範な線維化とそれに伴う骨髄造血不全と,髄外造血をきたす疾患である.治療法として同種造血幹細胞移植(以後,移植),ruxolitinibを含めた薬物療法などがある.移植は,骨髄線維症に対する唯一の治癒的治療法である.我々は,巨大脾腫を伴う骨髄線維症患者の移植前に脾照射を行うことで,腹部膨満感や腹痛症状を改善させ,移植治療中のADLを維持,脾梗塞や脾出血を回避し,移植した幹細胞が脾臓にトラップされる量を減らせる可能性を持つ.今回,骨髄線維症に対し脾照射併用移植を施行した2症例を経験したので報告する.
1症例目は,50歳代女性,18年前に本態性血小板増加症と診断され,1年前に血球減少が出現し,骨髄検査にて骨髄線維症と診断.DIPSS plusで高リスクであり,移植を勧めたが,ruxolitinib内服での経過観察を希望.しかし,血球減少の進行もあり,末梢血に芽球が出現し始めたため,20XX年11月に移植(ドナーは実弟でHLAフルマッチ)の方針に決定した.巨大脾腫による腹痛症状を認めていたため,脾照射(3Gy)を施行し,脾臓の縮小を認め,予定通り移植を施行した.好中球生着は17日目,赤血球生着は30日目,血小板生着は83日目であった.GVHDは出現せず退院し,現在も寛解を維持している.
2症例目は,60歳代女性,17年前に真性多血症と診断され,4年前に貧血が出現し,骨髄検査にて骨髄線維症と診断.DIPSS plusで高リスクであったため,移植を勧めたが,ruxolitinib内服での経過観察を希望.しかし,輸血の頻度も多くなり,末梢血に芽球が出現し始めたため,20XX年1月に移植(ドナーは骨髄バンクからのHLAフルマッチ)の方針に決定した.巨大脾腫による腹部違和感を認めていたため,脾照射(3Gy)を施行した.脾臓の縮小を認め,予定通り移植を施行した.好中球生着は15日目,赤血球生着は24日目,血小板生着は37日目であった.しかし,急性GVHDと重症感染症を併発し62日目に永眠された.
2症例ともに脾腫による腹部症状なく治療継続が可能であった.2症例とも血球生着し,生着日数は既報と同等であった.移植された幹細胞は骨髄にあるニッチに呼び寄せられる.脾臓にもニッチは存在しており,脾照射を行なうことで,脾臓内ニッチによる幹細胞トラップの減少が期待でき,移植幹細胞生着に対し促進的に働くことが想定されている。今後も脾照射併用同種造血幹細胞移植のさらなる症例の蓄積が期待される.

キーワード

臓器別:造血器・リンパ

手法別:移植・細胞療法

前へ戻る