演題抄録

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開催概要
開催回
第58回・2020年・京都
 

子宮内膜異型増殖症の治療中に診断されたCowden症候群の1例

演題番号 : P-246

[筆頭演者]
黒瀬 喜子:1 
[共同演者]
長井 智則:1、重松 幸佑:1、木嵜 雄一朗:1、魚谷 隆弘:1、赤堀 太一:1、松村 英祥:2、小松 哲:3、高井 泰:1、關 博之:1

1:埼玉医科大学総合医療センター・産婦人科、2:信州上田医療センター・産婦人科、3:信州上田医療センター・乳腺内分泌外科

 

【諸言】
Cowden症候群は、皮膚・粘膜、消化管、乳腺、甲状腺など全身臓器に過誤腫性病変が多発する常染色体優勢遺伝性疾患であり、有病率は20~25万人に1人と推定されている。原因遺伝子の一つにPTEN遺伝子が同定されており、約80%にPTEN遺伝子の変異を認め、約30%に乳腺・甲状腺・子宮などの悪性腫瘍を合併する。今回我々は子宮内膜異型増殖症(AEMH)に対する妊孕性温存療法中にCowden症候群の診断に至り子宮全摘術を施行した1例を経験したので報告する。
【症例】
33歳の既婚女性。実母が乳癌、母方の叔母が大腸癌である。当院産婦人科初診1年前に甲状腺濾胞腺腫と右乳癌で手術歴がある。乳癌に対しては術後タモキシフェン とリュープロレリンによるホルモン療法を受けていた。挙児希望が強く、前医産婦人科で乳癌のホルモン療法前に胚凍結保存が行われたが、ホルモン療法中に子宮内膜にポリープ様病変が指摘され、子宮内膜細胞診がclassⅢであり紹介となった。子宮内膜生検で悪性所見を認めず、子宮鏡下子宮内膜ポリープ切除術が施行され、最終病理診断は良性の子宮内膜ポリープであった。しかし術後2ヶ月目に不正性器出血を認め、診察時に膣内に排出された子宮内膜組織を病理検査へ提出したところAEMHの診断に至った。妊孕性温存の希望が強く、MPA療法を開始した。MPA療法8ヶ月施行時点での子宮内膜全面掻爬術による病理所見でもAEMH病変の消失は認めなかった。MPA療法を4ヶ月追加後に再評価し、病変の消失がなければ、悪性腫瘍への進展リスクを考慮し子宮全摘術を行う方針とした。その治療中に既往歴や家族歴から遺伝性腫瘍の可能性も考えられたため遺伝外来を受診し、遺伝子検査によりCowden症候群と診断された。MPA療法12ヶ月後の子宮内膜全面掻爬術でもAEMHの残存を認め、腹腔鏡下子宮全摘術と両側付属器切除術が施行された。
【考察】
Cowden症候群の最も重要な予後規定因子は悪性腫瘍の合併である。本症例では、家族歴や乳癌の治療歴がありAEMHも発症したことから、遺伝性腫瘍を疑い遺伝外来を受診しCowden症候群の診断に至った。適切に遺伝外来にコンサルテーションするためには、腫瘍医が遺伝性腫瘍に対する知識を持つことが重要であり、これにより次に発症する可能性のある悪性腫瘍に対するサーベイランスにつながると考える。

キーワード

臓器別:子宮

手法別:遺伝子診断

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