演題抄録

ポスター

開催概要
開催回
第58回・2020年・京都
 

手術および化学療法にて長期生存を得た腹膜播種を伴うStage IV胃癌の1例

演題番号 : P-95

[筆頭演者]
長谷川 毅:1 
[共同演者]
佐久間 崇:1、木下 春人:1、中川 泰生:1、寺岡 均:1

1:馬場記念病院・外科

 

症例は68歳、男性。高血圧で当院内科通院中であった。食後の嘔気、腹部不快感および体重減少(-5kg/1m)を主訴に、当院消化器内科紹介となった。上部消化管内視鏡検査を施行したところ胃前庭部から胃角部に全周性の潰瘍性病変を認め、生検の結果Group5(por)、胃癌と診断された。Fiberは通過可能であったが、胃内には大量の残渣を認め、胃の変形が強く通過障害をきたしていると考えられた。血液検査では、Hb 11.4 g/dL, Hct 33.6%と軽度貧血を認め、CEA/CA19-9は 5.9/393と高値を認めた。術前胸腹部造影CT検査では、明らかな肺転移および肝転移は認めず、ダグラス窩に腹水を認めた。胃周囲の所属リンパ節に腫大を認め、転移が疑われた。手術加療目的に当科へ紹介となった。術中所見にて、腫瘍は胃前庭部から胃角部に位置し漿膜への浸潤を認めた。胃小弯側のリンパ節は数珠状に腫大していた。腫瘍近傍と大網に結節を認めたが、視認可能な腹膜結節はその2つのみであったため、通過障害や貧血の進行を考慮し、小弯のリンパ節および腹膜結節を含めた広範囲胃切除術(B-II再建、ante-colica)を施行した。また腫瘍の横行結腸間膜内の中結腸動脈への浸潤を認めたため,横行結腸を一部合併切除した。術後麻痺性イレウスを認めたが、イレウス管留置し保存的に軽快した。その後は経過問題なく術後10日目に退院となった。病理組織学的診断の結果、大網の結節は播種転移でありpT4a(SE)N3aM1P1 pStage IVと診断された。退院後、治療的化学療法としてSP療法(S-1+CDDP)を開始し、術後約2年まで20コース施行できた。効果判定CTにて明らかな再発所見は認めず、その後S-1内服のみへ変更し、2投1休で8か月間投与した。CEA軽度高値は継続していたが、画像上明らかな再発所見は認めず、本人とも相談し化学療法を終了した。その後、外来にてサーベランス検査を継続しているが、術後3年7ヶ月経過した現在も無再発生存中である。胃癌の腹膜播種は一般的に治療困難で予後不良であり、またStage IV胃癌の5年生存率は10%以下である。しかし化学療法の進歩に伴い長期生存例も報告されており、播種を伴う胃癌でも、術後化学療法を長期行うことができれば、外科的切除を行う意義がある症例も存在すると考えられた。

キーワード

臓器別:胃・十二指腸

手法別:集学的治療

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