演題抄録

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開催概要
開催回
第58回・2020年・京都
 

Eribulin使用中に高度肝委縮をきたした乳癌多発肝転移の一例

演題番号 : P-64

[筆頭演者]
藤原 有沙:1 
[共同演者]
本田 弥生:1、足立 未央:1、熊木 裕一:1、奈良 美也子:1、米倉 利香:1、石場 俊之:1、岩本 奈織子:1、宮本 博美:1、堀口 慎一郎:1、有賀 智之:1

1:がん・感染症センター都立駒込病院

 

【背景】今回Eribulin(Eri)使用中に肝障害をきたし,高度肝萎縮に陥った乳癌多発肝転移の一例を経験した.PaclitaxelとBevacizumabの併用療法使用中に高度肝萎縮を併発する報告はされているが, Eriによる高度肝萎縮の報告はなく,若干の文献的考察を加えて報告する.【症例】症例は70歳代女性.既往歴はなし.左乳房腫瘤を主訴に当院紹介受診し,左乳癌cT3N1M0 Stage IIIA,ER+(90%), PgR±(5%), HER2:2+の診断となった.術前化学療法としてweekly Paclitaxel 12コースとDoxorubicin+Cyclophosphamide(AC療法)1コースを先行し(有害事象のため1コースで中止),左乳房切除+腋窩リンパ節郭清(レベルⅡ)を施行した.術後病理診断は t3(7.8cm) n3(13/15), ER+(90%), PgR±(2-3%), HER2:1+であった.術後補助療法として,胸壁鎖上照射50 Gy/25frを施行し,Letrozole内服を継続した.術後1年9ヶ月後に肝転移と多発骨転移を認めた.【再発後治療経過】再発後治療としてまずFulvestrant+Palbociclibを施行.3ヶ月後評価CTで肝転移は増大し,少量の腹水が出現しProgressive Disease(PD)の診断で,腫瘍マーカーの上昇も認めたため, Eriに変更した.変更後,腫瘍マーカーは減少傾向,CTでは肝転移はStable Disease(SD)の効果であったため,Eriを継続していたが, 5ヶ月後に食欲不振と腹部膨満で入院となり,入院時CTでびまん性の肝萎縮と胸腹水,の貯留と肝機能障害を認めた.Eri中止し肝庇護剤,利尿剤などの効果は乏しく,第14病日に死亡した.【考察】本症例の全身状態の悪化は最終的に原病の進行,高度肝萎縮をきたしたことが原因とも考えられた.エストロゲンは肝DNA合成と肝細胞の再生を促すと報告されており,びまん性肝転移を有する症例では,長期の内分泌療法後,肝細胞の再生能力が低下した状態で化学療法を施行すると,肝萎縮をきたし,肝不全に陥る可能性がある.腫瘍縮小による肝細胞の瘢痕収縮に加わり、正常肝細胞の再生が障害されて,肝萎縮に陥ったと考える.

キーワード

臓器別:乳腺

手法別:化学療法

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