演題抄録

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開催概要
開催回
第58回・2020年・京都
 

貧血で発見された乳癌骨髄転移の1例

演題番号 : P-63

[筆頭演者]
藤井 雅和:1 
[共同演者]
野島 真治:1、川口 雄太:1、中嶋 朔生:1、西原 聡志:1、藤井 美緒:1、山下 修:1、宮﨑 健介:1、金田 好和:1、須藤 隆一郎:1

1:山口県立総合医療センター・外科

 

症例は75歳の女性で、貧血及び右乳房腫瘤の精査目的で当院に紹介となった。右C区に約4cmの乳癌を認めたが、遠隔転移は認めなかった。来院時のRBC 288×1010 /l、 Hb 9.0 g/dlと貧血を認めた。白血球や血小板は基準値内であった。乳癌の腫瘍マーカーであるCEAは266.8 ng/mlと異常高値を示したが、CA15-3、NCC-ST-439、BCA225は基準値内であった。術前に貧血の精査目的で血液内科にて骨髄穿刺を施行されたが、検体不適正であったためまずは乳癌の治療を優先して行うこととした。右乳房切除術+センチネルリンパ節生検を施行した。術中迅速病理検査でセンチネルリンパ節に転移を認めたため、腋窩リンパ節郭清(Level Ⅱ郭清)を追加した。invasive lobular carcinoma、triple negativeであった。ly(評価困難)、v0、核グレード(Grade 1)で、摘出リンパ節はセンチネルリンパ節を除いてLevel Ⅰ(5/6)、Level Ⅱ(7/7)であった。また摘出標本のCEA免疫染色では陽性であった。術後stageは、T2、N1、M0、stageⅡBであった。術後入院中に血液内科で左腸骨からの骨髄生検が施行され、右乳癌組織と類似しており乳癌の骨髄転移と診断した。このためstageは、T2、N1、M1(MAR)、stageⅣとなり、術後は化学療法としてエピルビシン+エンドキサン→毎週パクリタキセルを選択することとした。初回化学療法施行時の入院の際に骨シンチグラフィ検査を施行したところ、椎骨、骨盤、両鎖骨などにびまん性の集積を認め、広範囲の骨髄転移を示唆する所見であった。白血球、好中球はG-CSF製剤の予防的投与でコントロールされており、また血小板の低下も認めていない。しかし化学療法の影響も相まって、貧血は徐々に進行してくるため、赤血球濃厚液の輸血を併用しながら化学療法を施行中である。骨髄転移はDICを併発して急速な転機をとる予後不良な病態であることが多いとされ、早急な治療介入が必要と思われる。また乳癌において貧血や血小板減少などを伴う際は、骨髄転移の可能性を考慮しておく必要があると思われる。しかし骨髄転移に対する化学療法のレジメンについてはまだ明確なものは示されたものはなく、これからの検討を要するところである。

キーワード

臓器別:乳腺

手法別:化学療法

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