演題抄録

ポスター

開催概要
開催回
第58回・2020年・京都
 

エリブリンによる薬剤性間質性肺炎を来した進行乳癌の1例

演題番号 : P-56

[筆頭演者]
中村 梓:1,3 
[共同演者]
本田 弥生:1、弥勒寺 紀栄:2、足立 未央:1、熊木 裕一:1、奈良 美也子:1、米倉 利香:1、石場 俊之:1、岩本 奈織子:1、宮本 博美:1、青木 信彦:3、有賀 智之:1

1:がん・感染症センター都立駒込病院・乳腺外科、2:がん・感染症センター都立駒込病院・呼吸器内科、3:豊島病院・外科

 

【緒言】乳癌症例においてエリブリンによる薬剤性間質性肺炎の報告は少なく, 有効な治療法も確立されていない. 今回, エリブリンによる薬剤性間質性肺炎を来したが, ステロイドパルス療法が有効であった進行乳癌症例を経験したので報告する.
【症例】60歳代女性. 3ヶ月前からの右乳房腫瘤を主訴に20XX年当科を受診した. 右BD区域に40mm大の腫瘤を認め, 組織診の結果, 浸潤性乳管癌(ER -, PgR -, HER2 3+)の診断となった. 腋窩リンパ節の他, 鎖骨上や縦隔リンパ節にも転移を認めた. StageⅣ乳癌として, トラスツズマブ, ペルツズマブ, ドセタキセルによる治療を開始し, その後はトラスツズマブ エムタンシンやラパチニブ, カペシタビンに切り替えながら治療を継続した. 20XX+2年1月からトラスツズマブ, ペルツズマブ, エリブリンでの治療に切り替え, 原発巣・リンパ節転移は縮小維持, 新規病変なく経過していた. 同年3月の定期受診時に呼吸困難, 酸素化不良とCTで両肺のすりガラス影を認めた. エリブリンによる薬剤性間質性肺炎の他, 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)等による感染性肺炎も鑑別に挙がったため, COVID-19 PCR検査を提出し, 感染対策を行った上で入院とした. 呼吸器専門医に相談した上で, 抗菌薬加療と並行して第2病日よりステロイドパルス(メチルプレドニゾロン 1000 mg/日×3日)を開始した. 第5病日にCOVID-19 PCR検査の陰性を確認し, 症状や酸素化, 血液検査・レントゲン所見の改善がみられ, 経過からエリブリンによる薬剤性間質性肺炎と考えられた. その後ステロイドを漸減したが増悪傾向はなく, CT所見も改善した. 第33病日にプレドニゾロン 20 mg/日の内服に切り替え, 第36病日に退院となった. 退院後もステロイドを漸減し, トラスツズマブ, ペルツズマブの治療を再開したが再燃傾向は認めていない.
【考察】本症例ではエリブリンによる薬剤性間質性肺炎にステロイドパルス療法が有効であった. エリブリンによる薬剤性間質性肺炎の治療法は確立されていないが, ステロイドパルス療法は治療の選択肢として考慮される. また, 本症例はCOVID-19流行開始時期と重なったため, 感染対策にも配慮が必要な症例であった. 薬物療法中の肺炎では呼吸器専門医との連携を早期に行い治療を判断する必要がある.

キーワード

臓器別:乳腺

手法別:化学療法

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