演題抄録

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開催概要
開催回
第58回・2020年・京都
 

Pegfilgrastim初回投与後に薬剤性大血管炎による大動脈解離を併発した乳癌の1例

演題番号 : P-54

[筆頭演者]
白木 映理子:1 
[共同演者]
西本 舞:1、康 裕紀子:1、露木 茂:1

1:大阪赤十字病院・乳腺外科

 

【背景】Pegfilgrastim(PFG)は、持続型G-CSF製剤で、化学療法における発熱性好中球減少症(FN)の予防目的での使用が増加している。今回我々は、乳癌術後化学療法中にPFG投与の副作用と考えられる大血管炎を併発し、大動脈解離に至った1例を経験したので報告する。
【症例】70歳、女性。併存疾患:関節リウマチ。
左乳癌pT2N1M0(HER2 enriched type)に対して術後補助化学療法として、EC療法(epirubicin+cyclophosphamide)を開始した。FNの一次予防目的に、1コース目day3にPFGを投与した。day11より右肩周囲の疼痛を自覚、day13に38度の発熱があり、day15受診時に白血球 12310/μL、CRP 7.71mg/dL、FNと考えLVFX内服を開始するも、day17にCRP 16.73mg/dLと著明な上昇を認め、胸腹部造影CTで右腕頭動脈から総頸動脈及び大動脈の血管炎所見を認めた。PFGによる大血管炎を考え、Prednisolone(PSL) 25mg/日の投与を開始し、一旦改善傾向であったが、day28にCRPの上昇及び疼痛増悪の再燃を認め、PSL 40mg/日に増量した。増量後、症状の消失と炎症反応の正常化を認め、PSLの漸減投与の方針とし、day50よりPSL 30mg/日継続しながら、術後補助化学療法をweekly Paclitaxel+pertuzumab+trastuzumabに変更・開始したが、化学療法に伴う倦怠感・体重減少にて2コースで中断、抗HER2療法のみ継続となった。PSLは漸減投与しながら、day85にフォロー目的に胸腹部造影CTを撮像したところ、右総頸~大動脈弓にかけて偽腔開存型解離を認め、大動脈解離StanfordA型の診断となった。画像所見や症状経過からはdya28頃に発生した亜急性期と考えられ、降圧にて保存的加療の方針となった。その後、定期フォローCTでは解離腔は縮小傾向であり、大血管炎の再燃を認めず、PSL 3mg/日にて漸減投与中である。
【考察】2018年にG-CSF製剤の重大な副作用として大血管炎が追記されたが、pubmed検索での文献報告は17例と稀な副作用である。また、本症例のように大動脈解離まで至った症例の文献報告はpubmed検索では1例のみであった。発現時期からもFNと診断されやすく治療開始が遅れやすく、G-CSF製剤を使用する際は留意するべき有害事象と考えられる。

キーワード

臓器別:乳腺

手法別:化学療法

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