演題抄録

口演

開催概要
開催回
第58回・2020年・京都
 

治療前破裂に対して緊急動脈塞栓術で止血し全身化学療法後に切除した肝芽腫3例の検討

演題番号 : O46-5

[筆頭演者]
坂野 慎哉:1,2 
[共同演者]
加藤 充純:2、文野 誠久:1、土屋 邦彦:3、家原 知子:3、安江 志保:4、遠渡 沙緒理:4、小関 道夫:4、細井 創:3、吉田 和弘:2、田尻 達郎:1

1:京都府立医科大学・小児外科、2:岐阜大学・腫瘍外科、3:京都府立医科大学・小児科、4:岐阜大学・小児科

 

【はじめに】肝芽腫は、時に破裂により発見され、出血性ショックにより致命的になり得る。今回我々は、破裂を伴った肝芽腫に対して肝動脈塞栓術(以下、TAE)を施行して止血し、全身化学療法後に肝切除を施行した小児肝芽腫破裂の3例を経験したので文献的考察を加えて報告する。【症例1】10か月、女児。顔色不良を主訴に前医に救急搬送され腹部CTで肝腫瘍およびその周囲に出血を認め、肝腫瘍破裂の診断にてヘリコプターで転院搬送となった。病着時ショック状態であり急速輸血を行いながらTAEを施行し腫瘍血管を塞栓しその後バイタルは安定した。AFP高値から肝芽腫(PRETEXTII)と診断しTAE施行3日後より全身化学療法としてCITA療法を開始した。4コース後に肝右葉切除術を行い、術後CITAを2コース施行した。初診より6年8カ月経過した現在再発を認めていない。【症例2】6歳、男児。超低出生体重児であり気管切開、胃瘻造設がなされていた。嘔吐と貧血を契機に肝左葉に6cm大の腫瘍を指摘され紹介受診となった。入院精査中に突然ショックとなり、腹部CTで腹腔内出血を認め、肝腫瘍破裂と診断し緊急TAEを行った。AFP高値より肝芽腫(PRETEXTII)と診断しTAE翌日より全身化学療法としてCITA療法を開始、6コース後に肝左葉切除術にて治療を終了した。初回手術より1年6カ月後に局所再発に対して肝部分切除を施行しているが、その後1年経過し現在は寛解中である。【症例3】2歳、男児。倦怠感を契機に10cm大の肝腫瘍を指摘された。転院搬送中に救急車内でショック状態となり、造影CTで腹腔内出血を認め肝腫瘍破裂と診断した。緊急TAEにて腫瘍血管を塞栓し完全に止血され、翌日に開腹肝生検を行い肝芽腫(PRETEXTII)と診断した。TAEより8日後にC5VD療法を開始、4コース施行後に肝右葉切除術を施行した。初診より9ヶ月再発無く経過している。【考察】今回の3例では、肝芽腫破裂という稀な病態であったが、初療医の的確な診断と、入院中や搬送中であったこと、あるいはヘリの利用などによる迅速な搬送とTAEの施行が救命につながり、その後早期に全身化学療法が開始でき、より安全な肝切除が可能であった。乳幼児例においてもTAEは十分施行可能であり、破裂に対しては開腹止血よりもまず初めに行うべき手技であると考えられた。

キーワード

臓器別:肝臓

手法別:IVR(Interventional radiology)

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