演題抄録

口演

開催概要
開催回
第58回・2020年・京都
 

当科にて経験した防ぎ得た転移性上腕骨骨腫瘍について

演題番号 : O40-2

[筆頭演者]
藤丸 直弥:1 
[共同演者]
山本 憲男:2、林 克洋:2、武内 章彦:2、三輪 真嗣:2、五十嵐 健太郎:2、米澤 宏隆:2、荒木 麗博:2、森永 整:2、淺野 陽平:2、土屋 弘行:2

1:市立輪島病院・整形外科、2:金沢大学・整形外科

 

【背景】
転移性骨腫瘍の病的骨折は病変部の播種による血行性の遠隔転移の促進などにより予後を不良とする原因となるため、切迫骨折に対する予防的手術や病的骨折をきたさないための安静指示が大切であると考えられる。しかし、病的骨折で整形外科に紹介となる患者の中には、骨折をきたす前に、前医の画像検査ですでに骨転移と診断がついていたにも関わらず、無指示のまま軽微な外傷で骨折をきたしてしまっている症例(以下、防ぎ得た骨折)もしばしば経験する。そこで、当科で手術加療を行った上腕骨の転移性骨腫瘍において、病的骨折の有無別に予後を検討し、防ぎ得た骨折と比較し、その原因と対策について検討した。
【対象と方法】
1998年から2019年までの上腕骨転移性骨腫瘍に対して手術を行った22例を対象とした。
性別は男性8例、女性14例、平均年齢64歳で、原疾患は肝細胞癌5例、多発性骨髄腫5例、腎細胞癌3例、骨肉腫2例、肺癌2例、大腸癌2例、その他3例であった。転移部位は上腕骨の近位部9例、骨幹部12例、遠位部1例であった。病的骨折なし9例、病的骨折あり13例で、その中で防ぎ得た骨折と考えられた症例は9例に認めた。統計学的評価はKaplan-Meire法を用いて生存曲線を求め、Log-rank testにて比較した(p<0.05)。
【結果】
生存期間中央値は病的骨折なし群で56か月、病的骨折あり群で22か月であった(p=0.2)。防ぎ得た骨折群の生存期間中央値は6か月であった(p=0.09)。前医で骨転移の診断はX線単純写真(3例)、骨シンチグラム(3例)、PET検査(3例)にて、当科に紹介となる7日以上前についていた。全例で転移が判明した時点での医師からの上肢に対する安静指示はなかったが、布団の片づけといった日常動作のみで6例が病的骨折をきたしていた。
【考察と結論】
上腕骨骨転移に対する手術例の生存期間に関する過去の報告と同様、病的骨折群は病的骨折なし群と比べて予後不良の傾向を認めた。その中でも防ぎ得た骨折群はさらに予後不良の傾向であった。病的骨折全13例のうち9例(70%)があらかじめ診断のついていた上腕骨転移性骨腫瘍であり、軽微な外傷による病的骨折はそのうち6例(67%)もあったことを考えると、前医で診断された時点で三角巾などによる簡易の固定や専門施設紹介までの間の安静指示を行うべきであったと考えられた。非専門医も診断後早期の骨転移キャンサーボードでの相談や迅速な専門施設への紹介が患者への最適な治療につながる。

キーワード

臓器別:骨軟部

手法別:手術療法

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