演題抄録

口演

開催概要
開催回
第58回・2020年・京都
 

下肢切迫骨折を伴う非小細胞肺癌へのPembrolizumabにより手術回避と腫瘍縮小を得た2例

演題番号 : O40-1

[筆頭演者]
淺野 陽平:1 
[共同演者]
山本 憲男:1、林 克洋:1、武内 章彦:1、三輪 真嗣:1、五十嵐 健太郎:1、米澤 宏隆:1、荒木 麗博:1、森永 整:1、笠原 寿郎:2、土屋 弘行:1

1:金沢大学附属病院・整形外科、2:金沢大学附属病院・呼吸器内科

 

【はじめに】近年,免疫チェックポイント阻害薬は癌の治療において革新的な効果をもたらしているが,骨転移に関する効果は十分に検討されていない.今回,下肢長管骨への転移による切迫骨折を伴う非小細胞肺癌患者に投与されたpembrolizumabが著効し,骨転移巣の手術回避と肺腫瘍の縮小を得た2例を経験したので報告する.【症例1】74歳,女性.誘因なく左足関節痛を認め近医を受診し,単純X線で脛骨遠位部に骨透亮像を認めたため当科紹介となった.CTで骨融解像を認め,Mirel'sスコア10点の切迫骨折であった.全身検索で頭蓋骨の骨透亮像と肺結節影を認め,脛骨遠位部の生検で肺腺癌の転移と診断された.当院の呼吸器内科で肺腺癌(cT1cN2M1c,Stage IVB,PD-L1発現率75%)と診断され,denosumab投与と,脳・頭蓋骨転移巣に対する放射線治療を施行後,pembrolizumab投与が開始された.3か月後には脛骨転移巣の著明な骨硬化と肺の原発巣の縮小を認めた.1年7か月後の現在も治療が継続されており,手術を要せず全荷重での生活が維持できている.【症例2】71歳,男性.CTで肺腫瘤影を指摘され,当院の呼吸器内科で多発胸膜播種を伴う肺腺癌(cT4N3M1c,Stage IVB,PD-L1発現率>75%)と診断された.全身検索で肝と右大腿骨に転移を認め,骨転移に関して当科紹介となった.単純X線とCTで右大腿骨近位骨幹部に骨透亮像と骨融解像,皮質骨の菲薄化を認め,Mirel'sスコア8点の切迫骨折であった.全身状態などを考慮し,化学療法を優先する方針となり,denosumabとpembrolizumabの投与が開始された.3か月後には大腿骨転移巣の著明な骨硬化と肺原発巣の縮小を認めた.8か月後の現在も治療が継続されており,手術を要せず全荷重での生活が維持できている.【考察】骨転移を伴う非小細胞肺癌へのpembrolizumab投与により,骨転移巣と原発巣の改善を認めた報告はわずかしかない.さらに,本症例のように四肢長管骨の骨転移巣の骨硬化を単純X線で経時的に評価し,手術を要せずに切迫骨折状態の改善を得た報告は渉猟し得た限りない.Pembrolizumabにより骨転移巣の骨硬化をきたす機序は明らかではなく,本症例では同時期より投与が開始されたdenosumabの影響も考慮されるが,切迫骨折状態の骨転移巣に対してはpembrolizumabの投与と慎重な経過観察によって手術を回避でき,早期より原発巣の治療を優先できる可能性が示唆された.今後,さらなる検討が必要である.

キーワード

臓器別:骨軟部

手法別:免疫療法

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